脳血管障害片麻痺患者のF波の直前に出現する波形は痙縮の程度を反映するか

関西医療大学大学院研究科長の鈴木俊明教授は、Case Reports in Neurology誌において脳血管障害片麻痺患者の運動療法効果に関する症例報告を行った。

報告によると、麻痺側母指球上の筋群に高度な筋緊張亢進を認めており随意運動は全く不可能である脳血管障害患者のF波を正中神経刺激で母指球上の筋群より測定した。M波とF波の間の約20msにF波と同様な不明瞭な波が見られた。

運動療法は、週2回20分、8ヶ月間、麻痺側母指球上の筋群のストレッチングを中心に実施した。そして、運動療法前後の機能障害とF波波形の変化を調べた。8ヶ月間の運動療法により,筋緊張はやや改善し,麻痺側母指の随意運動は軽度可能となった。この時のF波では、第1回目に見られた不明確な波形は見られなくなった。

運動療法では筋緊張の改善がみられ、不明瞭な波が出現しなかったために、この不明瞭な波形の存在も筋緊張亢進に関係したことが考えられた。

論文情報:

【Case Reports in Neurology】The Importance of F-Wave Patterns in a Patient with Cerebrovascular Disease Characterized by a Markedly Increased Tone of the Thenar Muscles

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