企業の景況感1年ぶりにプラス 和歌山財務事務所調査

白浜温泉街

 和歌山財務事務所は、和歌山県内企業が10~12月期の景況をどう見ているかを調査したところ「上昇」と答えた企業数が「下降」と答えた企業数を1年ぶりに上回ったと発表した。部品供給不足の緩和や全国旅行支援などの影響で、財務事務所は「景況改善の動きが見られる」としている。

 3カ月に1度の調査。前期と比較した景況感について「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合の差を「景況判断BSI」として表している。

 10~12月期は98社から回答があり、BSIはプラス10.2だった。うち製造業はプラス25.6。企業への聞き取りによると「部品供給不足の緩和で取引先からの受注が増加」(金属製品製造)、「取引先のレストランの客足が好調で、受注が1~2割増加」(食料品製造)などの声があったという。

 一方、非製造業のBSIは0。「全国旅行支援の影響で観光客が増加している」(運輸・郵便)、「原材料や燃料価格の高騰の影響か公共工事が少なく、受注が減少している」(建設業)などの声があったという。

 ここ1年をみると、昨年10~12月期の全産業のBSIは、新型コロナウイルス対策の外出規制緩和や県の観光需要喚起策などにより7.8とプラスだったが、今年1~3月期はその反動でマイナス20.8と大幅に下降。ただ、その後は4~6月期はマイナス8.0、7~9月期はマイナス1.1とマイナス幅は縮小傾向にあった。

 今後については、原材料やエネルギー価格の高騰による収益源を心配し、不透明感が強いという。

 また、雇用関係について「不足気味」と答えた企業の割合から「過剰気味」と答えた企業の割合を引いた「従業員数判断BSI」はプラス33.3で、人手不足感が続いている。企業からは、人口が少ない紀南では、賃金を上げて募集しても人材確保が難しいといった声などがあったという。

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