Mスポーツ、タナクの僚友にピエール-ルイ・ルーベを指名。ギルソウルとのペアでWRC初フル参戦へ

 Mスポーツ・フォードWRTは12月15日、ピエール-ルイ・ルーベをふたりめのフルタイムドライバーとして2023年シーズンのWRC世界ラリー選手権で起用すると発表した。

 今季2022年はパートタイムで計7回、フォード・プーマ・ラリー1をドライブしたルーベ。自己最高位の4位をマークしたことに加え、自身初のステージ優勝と初のラリーリーダーを経験するなど、印象的な活躍を見せた25歳のフランス人は、先週“古巣復帰”がアナウンスされたオット・タナクのチームメイトとして全13戦が予定されている2023年シーズンを戦っていくことになった。

 なお、2019年のWRC2クラスチャンピオンである彼は次のシーズンに向け、経験豊富なコドライバーとペアを組む。その相手はWRC通算13勝を含む合計43回の表彰台を経験しているニコラス・ギルソウルだ。

 かつて、ティエリー・ヌービル(ヒョンデ・シェル・モビスWRT)と組んでいた40歳のベルギー人とルーベのペアは、すでにフランス国内ラリーでデビュー済み。結果はメカニカルトラブルによるリタイアに終わったが、最終日まで総合2番手につけていた。

「子供の頃から夢見ていたことが実現したんだ。WRCで初めてフルシーズンを過ごすこと、そして毎週末のように僕の人生のメインテーマであるレースができるというのは、本当に素晴らしいことだ」と、ルーベは喜びを語った。

「Mスポーツの公式ドライバーになり、マニュファクチャラーポイントを獲得することは、僕がつねに望んでいたことであり、Mスポーツがこのように僕を信じてくれていることをとてもうれしく思っている。また、オット(・タナク)のチームメイトとして一緒に仕事ができることは、とても特別なことだ」

「僕のために素晴らしい仕事をしてくれたマルコム(・ウィルソン/Mスポーツ創設者)とリッチ(リチャード・ミルナー代表)に感謝している。また、アレクサンドルとグウェン、そしてクリストフにもお礼を言いたい。彼らや、親友のローランのサポートがなければ成し遂げることができなかった。良いシーズンを送って、みんなに誇りに思ってもらえるようにしたい」

 ルーベとペアを組むギルソウルにとって、WRCのトップクラスへの参戦は2020年以来となり、フォード車での参戦は2013年以来初めてとなる。

「WRCに復帰できて非常にうれしく思っている。とくに、若い有望なドライバーと最高のマシン、世界チャンピオンのチームメイトという本当に良いパッケージがあるからね」とギルソウル。

「ピエール・ルイとは昨年、フランスでのトレーニングキャンプで知り合った。当時、彼は厳しい状況にあったが2022年に彼が見せた自身の速さを発揮できる精神的な強さに感心した。先週末はフランスの国内ラリーで一緒に走り、彼のドライビングテクニックを目の当たりにした。それは僕を納得させるには充分だったよ」

■「オジエから学んだタナクのように……」ルーベの成長を願うウィルソン

 Mスポーツ・フォードWRTのチーム代表であるリチャード・ミルナーは次のように語った。

「我々は皆、2022年のピエールのパフォーマンスに感銘を受けている。彼はこれまでの経験から学び、それを乗り越える意欲を絶え間なく示した。それが彼がフルシーズンを戦うにふさわしい候補に挙げられる理由だ」

「もちろん、彼はまだラリー1でのキャリアが浅く、これからのシーズンは彼にとって非常に重要なシーズンとなるだろう」

「ピエールは真のチームプレーヤーであり、すぐにMスポーツ・ファミリーの重要な一員となった。個人的には来年、私たちが一緒に何を達成することになるのか楽しみにしている。彼がキャリアで最初の表彰台を獲得するのを心から願っているよ」

 組織のマネージング・ディレクターを務めるマルコム・ウィルソンは、「私はピエール-ルイ・ルーベを全面的に信頼しているし、2022年の成績は、彼がこのスポーツで成功するためのすべての要素を持っていることを示していると感じている」と述べた。

「オットと一緒に仕事をすることで、2017年に(タナクがセバスチャン・)オジエと一緒に仕事をしたのと同じように、ピエールが成長し学んでくれることを期待している」

2022年までピエール-ルイ・ルーベとペアを組んでいたヴァンサン・ランデは、2022年最終戦『ラリージャパン』からセバスチャン・ローブのコドライバーを務めている

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