教員不足で特別支援学級を統合 沖縄県内45校中6校で確認 学業に影響「不登校になった児童も」

 深刻な教員不足が続く沖縄県内の公立校で、普通学級の担任不足を補うため特別支援学級を統合している学校があることが分かった。沖縄県教職員組合(沖教組)の一部の支部による緊急調査で判明。2日時点で45校から回答があり、6校で統合によって確保した教員を普通学級に配置している。特別支援学級の定員基準8人を超過したり、異なる障がいの子が一つの学級にまとめられたりしている実態もあり、学校生活に影響が出ている。  
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 支援が行き届かず、教員からは「不登校になった子がいる」「保護者から、子どもの安全を守れていないと連絡が増えている」との声が上がっている。  
 緊急調査は11月24日から一部地域で開始。教員不足への各校の対応を調べている。これまでに判明した6校は小学校4校、中学校2校。沖教組は「氷山の一角だろう」と分析している。本紙取材によると、退職教員の後任が見つからず、緊急的に特支学級を統合している学校の一つでは、既に約3カ月間、異なる障がいの子どもたちが定員基準を超過した状態。特支学級の担任は「目の前のことに追われる毎日だ。一人一人習熟度も違っていて、間に合わせの指導になっている気がする」と焦燥感を募らせる。特に、以前から不登校になっている子どもへの声かけが十分にできていないという。  
 影響は他の業務にも及ぶ。退職教員が担当していた校務も数人で分担しているため、業務過多で「心も身体も追い付いていない」と悲鳴も聞こえる。  別の小学校では、担任が代わったことで特支学級の子が落ち着かなくなり、トラブルが増えた。学校に来なくなった児童も出ている。保護者から「子どもの安全を守ることができていない」との苦情が寄せられている学校もある。 (嘉数陽)
特別支援学級
 障がいのある児童生徒を対象に障がいの種類ごとに置かれる少人数の学級。文部科学省は学級編成の定員基準を8人としている。知的、情緒、弱視、言語などの学級がある。障がいに応じて複数の特支学級を置いている学校が多い。複数の学年の子どもを同一学級に編成することが可能。
 
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