楽しみ方いろいろVery Merry Christmas

クリスマスまであと1週間。街を歩けばジングルベルとイルミネーションに包まれてソワソワ&ウキウキ気分に。今週はこの時期ニューヨークで絶対に外せないスポットや、世界各地のクリスマスの祝い方、伝統料理をご紹介。(取材・文/加藤麻美)


毎年行っても、何度見ても感動する

NYこの冬のおすすめスポット・ベスト5

ニューヨークらしいクリスマススポットや思い出に残るアクティビティーを厳選。

1. クリスマスツリー@ロックフェラーセンターとサックス・ホリデー・ショー

ホリデーシーズンを象徴する輝きは、観光客はもちろんニューヨーカーにとっても特別な存在。今年選ばれたツリーは高さ82フィート、重さ14トン、樹齢約85〜90年のノルウェイスプルース。5万個を超える色とりどりのLEDライトと、900ポンドのスワロフスキーの星が冠として飾り付けられている。そして、ロックフェラセンターのクリスマスツリーとセットで楽しめるのが、通りを隔てて反対側にあるサックス・フィフス・アベニューのホリデーショー。何十万個ものLEDライトが、ホリデーミュージックとシンクロしながら5番街の49丁目と50丁目の間にある同旗艦店の側面に映し出される(3〜4分)。

★毎日午前6時から深夜0時まで。クリスマスイブは24時間。大晦日は午後9時まで。ツリーの撤去日はTBA。ホリデーショーは毎日午後5時から11時まで10分間隔。2023年1月上旬まで。

2.クリスマススペクタキュラー@ラジオ・シティ・ミュージック・ホール

ラジオシティロケッターズが出演するホリデーシーズンの「鉄板」ショー。空飛ぶサンタクロースや生きたラクダ、ロケッターズの一糸乱れぬシンクロナイズド・プレシジョン・ダンスを楽しめる(90分)。

★2023年1月2日まで。チケット購入は

3.くるみ割り人形@ニューヨーク・シティ・バレエ

20世紀を代表する振付家ジョージ・バランシン(1904〜83年)が1954年に発表、世代を超えて愛されるホリデーシーズンの「伝統」パフォーマンス。チャイコフスキーの流麗な音楽に合わせて華麗な踊りを披露するのはニューヨーク・シティ・バレエの団員とスクール・オブ・アメリカン・バレエの生徒たち。見どころは12フィートから40フィートまで成長するクリスマスツリー。ちなみに昨年の公演時には軍司兼成(けんせい)さん(13)が日本人として初めてプリンス役に抜擢された。

★12月31日まで。チケット購入はwww.nycballet.com

4. ガーデングロウ&ホリデー・トレイン・ショー@ニューヨーク植物園

光と音による屋外のホリデーショーとしてはニューヨーク最大規模。ライトアップされるのは、ハウプト温室とマーツ図書館を中心とした約1・5マイルのコース。30年以上も続くホリデー・トレイン・ショーでは、葉っぱや小枝、樹皮、木の実などの自然素材で作ったニューヨークのランドマーク(エンパイア・ステート・ビルや自由の女神、ブルックリン橋など)のミニチュア190体を背景に、約8キロメートルの線路を25台のGスケールモデル列車が走る。他には話題のフードベンダーが並ぶナイトマーケットや氷の彫刻の展示などもあり。

★12月15〜17日、22〜23日、26〜30日、2023年1月1日、7日、14日午後5時から10時まで。チケット購入はwww.nybg.org

5.クリスマスイルミネーション@ダイカーハイツ(ブルックリン)

通称「ダイカーライト」。年々派手になるイルミネーションを一眼見ようと地元のみならず世界中から観光客が押し寄せる、ホリデーシーズン屈指の人気スポット(写真上)。ネイティビティ(キリスト降誕場面)やジャンボサンタ、トナカイ、雪だるまなど大掛かりな飾り付けとライトアップで通りは光の洪水に。バスツアーもある。

★12月31日まで。83丁目から86丁目までの11番から13番街(ダイカーハイツブルバード)。日没から午後9時まで。バスツアー:www.viator.comasliceofbrooklyn.com

世界のクリスマス、どう過ごす? 何食べる?

お国変われば祝い方も変わる。世界各地のクリスマスの過ごし方と伝統料理を聞いた。


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クリスマスは聖ルシア祭からスタート
スウェーデン(Kingdom of Sweden)

紀子さんの息子ペールさん(手前)、妻サラさん(奥)、孫のローバさん(サラさんの横)とルドビックさん(右奥)

スウェーデンのクリスマスは12月13日の聖ルシア祭から本格的に始まります。当日は聖ルシアに扮した少女たちが洗礼服を象徴する白いドレスと、殉教の血を象徴する赤い帯をまとい、ろうそくや花輪で作った冠をかぶり、「サンタルシア」を歌いながら行進します。これは「闇に覆われた世の中にキリストが光をもたらす」ことを意味しているとされ、別名「光の祭典」とも呼ばれています。

グロッグとジンジャークッキー。ジンジャークッキーは自家製が多いようです

プレゼントはクリスマスツリーの下に置き、イブのディナーの前後に開封します。自宅でのディナーならサンタの仮装をした男性がプレゼントを開ける役を引き受けることが多いです。

クリスマスの伝統料理

星の形をしたランプやキャンドルを窓辺に飾ります

スカンジナビア諸国の伝統的料理スモーガスボードのクリスマス版「ユールボード」を食べます。主なメニューは、サーモンの北欧風マリネ「グラバードラックス」やニシンの酢漬け、ミートボール、「ヤンソン氏の誘惑」と呼ばれるアンチョビとポテトのグラタン、シュリンプエッグ、ビーツサラダ、「ユールフィンカ」というクリスマスのポークハムなどです。そして、クリスマスに欠かせない飲み物が「ユールムスト」、ちょっと甘めのコーラのような味のノンアルコールの炭酸飲料です。グロッグは赤ワインにシナモンやレーズン、ナッツを加え温めたホットワイン。ジンジャークッキーと一緒にいただきます。

◆お話を聞いた人◆

大橋紀子さん
(ストックホルム市公認ガイド・通訳)


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バドニャクと干し草、チェスニカとラキア**
セルビア(Republic of Serbia)

ボジッチのご馳走。手前が豚の丸焼き

正教会の信者が多いセルビアでは、ユリウス暦を採用しているため、クリスマスは12月25日から1月7日となり、イブに当たるのが1月6日になります。クリスマスはセルビア語で「ボジッチ」、イブは「バドニ・ダン」と呼びます。バドニ・ダンになったら、夜明けとともに一家の主人が森に行き、ナラの若木の丸太や小枝を斧で切り落とし家に持ち帰り、玄関横に垂直に立てかけておきます。ちなみにこの小枝は「バドニャク」と言い、教会の前庭で焼く儀式も行われます。日没後、バドニャクを家の中に持ち込み、乳香を焚きながら暖炉で燃やし、家族の健康と幸せを祈ります。居間の床には馬小屋で生誕したキリストを倣って干し草を敷きます。ボジッチの朝は家長と男たちが教会の礼拝に行き、女たちはご馳走の支度をします。

チェスニカとセルビア名物ウィートベリーのキャンドル

クリスマスの伝統料理

ボジッチ当日のメインディッシュは豚の丸焼き。前菜にサラミやチーズ、トマトとキュウリのサラダ、セルビアのロールキャベツ「サルマ」などが並びます。「チェスニカ」と呼ばれるイースト菌で発酵させない丸いパンや、プラムブランデー「ラキア」もボジッチの定番です。ラキアはつい先日、ユネスコの無形文化遺産に指定されました。

教会で炎にくべられるバドニャク

◆お話を聞いた人◆

オルガ・ニコリッチ-リットウィンさん
(絵画修復士)


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仮面パレードでクライマックスに**
ジャマイカ(Jamaica)

ジャマイカでは「クリスマス風」が吹く12月初旬から元旦まで、ノンストップでクリスマスを祝います。街角やヤシの木に色鮮やかなペッパーライトが飾られ、タクシーにもイルミネーションが施されます。イブは家族や友達と「グランマーケット」に繰り出してラストミニッツのショッピング。ボクシングデー(26日)や元旦には仮装して仮面をつけた人たちが音楽に合わせて踊ったり練り歩いたりする伝統行事「ジョンカヌー」が開催され、お祭り気分はクライマックスを迎えます。

クリスマスの伝統料理

ジャークチキン、魚の南蛮漬け(エスコビッチ)、ワイン漬けしたレーズンやチェリー、パパイヤ、デーツ、プルーン、シナモン、モラセスなどで作るフルーツケーキ「ブラックケーキ」、ハイビスカス科の赤い花ソレルにショウガと砂糖、スパイスを加えて煮出し、ホワイトラムを加えた飲み物「ソレル」など。

◆お話を聞いた人◆

© WikiPedant

シェリーアン・ケンダルさん
(看護師助手)


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真夜中の連続ミサで祈りを捧げる**
フィリピン(Republic of the Philippines)

カトリック教徒が多いフィリピンでは9月から1月まで関連行事が続きます。最も重要なのが、タガログ語で「シンバン・ガビ」と呼ばれる真夜中のミサで、12月16日から24日のイブまでの9日間連続で、早朝3時から5時までの間に行われます。最終日には締めくくりの礼拝、ミサ・デ・ガロ(スペイン語で「雄鶏のミサ」の意味)があり、昔から「9つのミサ全てに参加した信者は特別な願いが叶う」と言い伝えられています。

クリスマスの伝統料理

紫芋のケーキ「プト・ブンボン」、ライスヌードル、またはエッグヌードルを野菜や肉と一緒に炒めた焼きそば「パンシット」、赤いパラフィンワックスでコーティングされたエダムチーズ「ケソ・デ・ボーラ」、パイナップル果汁でグレーズしたポークハム、バーベキューポーク(串焼き)など。

◆お話を聞いた人◆

© Ervin Malicdem

リリー・アラスコさん
(看護師)

NYCクリスマスツリー巡り

美術館・博物館からご近所の公園や広場まで。見逃せないクリスマスツリーはここだ!


聖ヨハネ大聖堂
ピースツリー
1047 Amsterdam Ave.


アメリカ自然史博物館
オリガミツリー
200 Central Park W.


グランドアーミープラザ
Flatbush Ave., Eastern Pkwy. and
Prospect Park.


ニューヨーク証券取引所
11 Wall St.


メトロポリタン美術館
ナポリ伝統工芸人形ツリー
1000 5th Ave.


年に一度のお楽しみクリスマス菓子を試してみよう

ホリデーシーズンになるとグルメショップの店頭にずらりと並ぶクリスマス菓子。この時期にしかお目にかかれない世界各国の伝統的なお菓子を集めた。

この時期お店には様々なクリスマス菓子が並んでいる


Panettone
パネットーネ(イタリア)

© Nicola from Fiumicino (Rome), Italy

サワードゥの一種、パネットーネ種を発酵させて焼き上げたパン。レーズン、砂糖漬けの果物の皮、アーモンド、ブランデーなどを混ぜて作る。タルトフォーンは、パネットーネ生地にヘーゼルナッツクリームを詰め、チョコレートとタルトファータのグラニュー糖をまぶしたもの。イタリアではクリスマス前の4週間(待降節)に各家庭で焼き、親族や友人に配る習慣がある。


Fruits Cake Dフルーツケーキ(ヨーロッパ各地)

砂糖やラム酒に漬けたフルーツ、ナッツ、スパイスが入ったどっしりとした食感のケーキ。焼き上げてからまたラム酒をかけて10週間熟成させる。ホリデーシーズンのギフトとしても喜ばれる。ラム酒を使っているため日持ちも良い。


Stollen
シュトーレン(ドイツ)

ドイツの伝統的なフルーツケーキ。アーモンドペースト(またはマジパン)をたっぷり使って焼き上げ、バターと砂糖でコーティングする。クリスマス前に焼いて、2週間ほど熟成させてからいただく。こちらもギフトに喜ばれるお菓子だ。


Christmas Pudding
クリスマスプディング(英国)

ドライフルーツや砂糖漬けの柑橘類の皮、シナモン、ブランデー、ラム酒などで味付けをし、濃厚でしっとりモチモチとした食感に仕上げたお菓子。待降節の前の最後の日曜、クリスマスの5週間前に焼き上げ、温めて食べる。

© Trend Pot NY,LLC