西鉄ら3社、鉄道輸送による成田・羽田空港への航空貨物保税運送開始

西日本鉄道株式会社 国際物流事業本部(以下、西鉄)ら3社は、大阪府泉佐野市の西鉄りんくう貨物センター(以下、西鉄りんくう)から、成田・羽田空港国際貨物地区への航空貨物の保税運送における鉄道輸送を開始する。12月13日付のプレスリリースで明かした。

関西空港 (以下、関空)を出発する国際線の便数は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により減少が著しかった時期と比べ、現在は持ち直しつつある。しかし、依然コロナ前の水準へ回復するには至っていない。

西鉄は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で航空便が減少し始めた当初から、比較的便数の多い成田・羽田発の国際線に着目していたという。そして、関空発を補強する形で、関空対岸の西鉄りんくうにおいて税関より輸出許可を受けた外国貨物を長距離トラックで保税運送して成田・羽田空港国際貨物地区へ搬入するというフローを実施してきた。

また、同取り組みは、西鉄、センコー株式会社(以下、センコー)、日本貨物鉄道株式会社 関西支社(以下、JR貨物関西支社)の3社で実施する。取り組みの目的は、長距離トラックドライバーの供給不足が予想される2024年問題に対応し、関空から成田・羽田空港国際貨物地区への保税運送において安定供給が可能な別ルートを設定することだ。これにより、輸出者のサプライチェーンの最適化に寄与する。同時に、長距離トラックの輸送区間をCO

排出の少ない鉄道輸送が担うことで排出量を削減し、グリーン社会の実現に貢献する。

くわえて、同取り組みでは、西鉄の航空貨物や保税に関する知識、JR貨物については環境面や労働生産性に優位性のある貨物鉄道の輸送サービス、センコーの持つ鉄道利用運送事業者としてのコンテナ輸送についてのノウハウを結集している。2022年9月よりテスト輸送を開始しており、本格稼働は2023年4月から開始予定だ。

さらに、当該輸送を実施した場合、西鉄りんくうから成田・羽田空港国際貨物地区への全行程をトラックで輸送する場合のCO

排出量と比較して、約60%程度削減されるという。(西鉄りんくうから成田・羽田空港国際貨物地区までの全行程を10トントラックで輸送した場合と比較)

なお、3社は、現在西鉄手配により西鉄りんくうから成田・羽田空港国際貨物地区へ保税運送している貨物の約半分を、将来的にこの新たなルートへ切り替えることを目標としていると述べている。

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