被爆2世側が控訴へ 長崎国賠訴訟「不当な判決」 援護法対象と主張

控訴する方針を明らかにする崎山さん(左)と丸尾さん=長崎市役所

 長崎原爆の被爆者を親に持つ被爆2世の援護を国が怠っているのは違憲だとして、2世ら28人が国家賠償を求めた訴訟で、原告団は15日、請求を棄却した長崎地裁判決を不服として控訴する方針を明らかにした。
 12日の地裁判決は、被爆2世への遺伝的影響について、知見が確立しておらず「可能性を否定できないというにとどまる」と指摘。援護するかどうかは立法府の裁量に委ねられていると判断し、憲法違反とは認めなかった。
 原告団は長崎市役所で会見。昨年の「黒い雨」訴訟広島高裁判決を踏まえれば、遺伝的影響の可能性を否定できない時点で被爆者援護法の対象とすべきだと主張した。28人全員が控訴する方針で、これから準備を進めるという。
 原告団長の崎山昇さん(64)は「残念ながら国側の立場に立った判断。不当な判決だ」と批判。原告の一人で「県被爆二世の会」会長の丸尾育朗さん(75)は「裁判所が役割を放棄したとしか考えられない。最後まで闘っていきたい」と語った。
 原告側は健康不安を訴え、法的援護がない現状は「法の下の平等」を定めた憲法に違反するとして1人当たり10万円の賠償を求めていた。同種訴訟は広島地裁でも起こされており、来年2月に判決が言い渡される。


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