ホンダ系の強豪が4台体制を確定。アルゼンチン国内を除く来季開催地詳細も/TCRサウスアメリカ

 今月12月初頭にも、新規創設TCRブラジルとの併催を含めた3カ国全10戦のスケジュールが確定した2023年のTCRサウスアメリカ・シリーズだが、開催各サーキットが未定となっていた創設3年目のスケジュールのうち、アルゼンチン国内を除くカレンダーの詳細が確定。併せて従来のダンロップに代わり、2023年より新たなタイヤサプライヤーとしてクムホが指定された。

 その南米シリーズ新年度に向け、強豪スクーデリア・マルティーノは4台体制のうち残る3台のラインアップも公表。すでに起用を発表済みだったアルゼンチン出身の若手有望株イグナシオ・モンテネグロに加え、前年度の耐久イベント覇者ファビオ・カサグランデらの残留がアナウンスされている。

 この12月に入り、来季レース日程を発表していたTCRサウスアメリカだが、当初予定されていたレース距離160km越えの耐久イベントは2戦のみに抑制され、当初計画の全12戦から2戦減でシリーズを実施する計画が明かされていた。

 そのうち開幕からの3戦は、通常スプリント2戦、耐久1戦ともにアルゼンチン国内でのレースが予定され、こちらの開催トラックは追ってアナウンス予定に。続く第4戦のブラジルではインテルラゴス、ホス・カルロス・パーチェの世界的F1トラックにて耐久戦が実施され、ウルグアイのイベントは2022年も開催実績のあるリベラとエル-ピナールで争われる。

 さらにアルゼンチンでのスプリントを挟んでブラジルに戻ったシリーズは、同国最高峰の“ハコ車”選手権でもあるSCBストックカー・ブラジルでもおなじみ、サンタクルス・ド・スル、ヴェロチッタ、ブラジリアでの都合4戦を実施する。

 そのTCRシリーズにおいて、2022年もタイトル戦線に絡む活躍を見せたスクーデリア・マルティーノは、アルゼンチンを代表する人気ツーリングカー選手権『TC2000』で頭角を現す18歳のモンテネグロとの契約を発表していたが、残る3台を託すドライバー構成も確認。

 今季までPMOモータースポーツに所属してプジョー308 TCRを走らせていた、エンリケ・マグリオーネとファン-マヌエル・カゼッラが移籍加入し、最後の1台にはテルマス・デ・リオ・オンドの耐久戦ではWTCR世界ツーリングカー・カップで活躍する地元出身のスター、エステバン・グエリエリとのペアで勝利を飾ったカサグランデの残留が発表された。

開催実績のあるウルグアイのリベラなど、アルゼンチン国内を除く開催サーキットが確定した
今月初旬にもスクーデリア・マルティーノ加入が発表され、自身初のTCRフルシーズン参戦が決定したイグナシオ・モンテネグロ

■TCR規定生みの親が新型『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』の登場を歓迎

「我々はTCRサウスアメリカ・シリーズでの第3シーズンを、真に大きな挑戦のように受け止めている。そのため目標は、ポジティブな結果を残すためにすべてを賭けることと、最初から競争力を持つことだ」と語るのは、この強力な布陣を固めたチーム代表のセバスチャン・マリノ。

 2023年のTCRサウスアメリカには、今季終盤3戦に“TOYOTA GAZOO Racingラテンアメリカ”として登場した新型『トヨタ・カローラGRS TCR』の本格参戦も見込まれているだけに、ホンダ系トップチームのスクーデリア・マルティーノとしても、一刻も早く新型『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』の導入を目指したいところ。

 ただし既報のとおり、イタリアからの本格デリバリーは来季2023年4月からとなるため、現時点でマリノ代表も新車の導入時期に関する言及はしていない。

 一方でTCR規定の生みの親であり、WSCグループを率いるマルチェロ・ロッティ代表は、JASモータースポーツが設計開発した新しい車両の登場を歓迎し、ホンダとJASの長年にわたるコミットメントに謝意を述べた。

「2015年以来、一貫して成長を続けてきたTCRレーシングカーのファミリーに、新しいホンダ・シビック・タイプRを迎えることができて本当にうれしく思っている。これはWSCによって認定された26番目のモデルであり、シビック・シリーズで3番目のモデルになる。実際、FL5は先祖であるFK2とFK7(実際の登録はタイプRのFK8ではなくFK7)に続く車両で、その開発を担ったJASモータースポーツは同じモデルの3代目を開発した最初の会社……ということになるね」と、その喜びを饒舌に表現したロッティ代表。

「JASとホンダの双方が、こうしてTCRコンセプトへのコミットメントを継続してくれたことに感謝したい。彼らの関係がこのカテゴリーで最も成功したブランドのひとつになって以来、我々はともに長い道のりを歩んできた」

「2022年もTCRオーストラリアを皮切りに、TCRデンマーク、TCRドイツ、TCR台北など、ホンダのブランドは多くの重要なタイトルを獲得している。彼らのクルマは今日まで43のシリーズで合計3666回のスタートを記録し、TCR公認シリーズで365回の勝利を収めている。そしてWTCRでは22勝を挙げ、最多勝利車種にも輝いているんだ。JASとホンダが新型シビックとともに、今後もTCRでの活動を成功させ続けることを願っている」

今季終盤3戦に“TOYOTA GAZOO Racingラテンアメリカ”として登場した新型『トヨタ・カローラGRS TCR』の本格参戦も見込まれている
マルチェロ・ロッティ代表も、新型『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』の登場を歓迎する言葉を残した

■TCRサウスアメリカ・シリーズ2023年カレンダー追訂版

ラウンド 開催日 開催地
Rd.1 3月26〜27日 TBA/アルゼンチン(スプリント)
Rd.2 4月15〜16日 TBA/アルゼンチン(スプリント)
Rd.3 4月29〜30日 TBA/アルゼンチン(エンデュランス)
Rd.4 6月10〜11日 インテルラゴス/ブラジル(エンデュランス)*
Rd.5 7月22〜23日 リベラ/ウルグアイ(スプリント)*
Rd.6 8月12〜13日 エル-ピナール/ウルグアイ(スプリント)
Rd.7 8月19〜20日 TBA/アルゼンチン(スプリント)
Rd.8 9月23〜24日 サンタクルス・ド・スル/ブラジル(スプリント)*
Rd.9 10月21〜22日 ヴェロチッタ/ブラジル(スプリント/ダブル)*
Rd.10 12月2〜3日 ブラジリア/ブラジル(スプリント)*
*TCRブラジル併催

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