週間天気予報にも雪だるまマークがでるようになりました。車のタイヤ交換を済ませた方も多いのではないでしょうか。
ココを読んでくださってる皆さんは「雪だ!ウキウキ♪」ですか?それとも「雪の季節がきちゃった・・・」でしょうか。
私は今でこそ前者の「雪だ!ウキウキ♪」派ですが、登山1年生のときは「雪が降っちゃう・・・」と暗くなっていました。
去年の11月に当コラム「雪山こそが山登り!~まずは近くの山で楽しさを」を読んでくださった方はご記憶にあるかもしれません。
こんなにたのしいのに雪が積もっちゃったら山に行けない・・・・
しかもその当時、私は筋力不足からくる下山時のひざ痛に悩まされていました。
沈痛な面持ちで遊山行を訪れたら。(当時は太田さんご夫婦がお店を切り盛り。私は客のひとりとして二日とあけずに事務職の仕事がおわったら遊山行にむかう日々でした)
あーあ、と嘆く私に三枝子さんは
「なに言ってるのー。雪が降ってからがたのしいんじゃないのー」
心底おかしなこと言ってて笑っちゃう、といった風でした。
しかも「下山時は雪山のほうがひざも痛くなりにくいのよ」
あまりに想定外なことばに半信半疑のまま、そんな嬉しすぎることがあるのかしらんと思いながら、翌々日の『遊山行マウンテニヤリングツアー:雪の取立山』に向かうべく、冬用パンツ、雪山用の靴、和かんじき、アイゼン、ピッケルをその場で購入したのでした。
と書いていたことを。
そう、福井県内の山なら雪のシーズンがひざ痛に悩む方にはおすすめ なんです。
そこで、さあ福井の雪山に行きましょう!といきたいところですが、まずはまずは。
ひざ痛。この言葉に刮目な方がいらっしゃるはず。
先述のとおり、登山1年生のころの私はひざ痛に悩まされていました。
緊張しながら山道具をそろえて春にいそいそと近くの里山から歩きはじめ、冠山(福井県池田町)や鬼ヶ岳(越前市)、西方・栄螺(敦賀市)と楽しく登っていたのですが、初秋の荒島岳
(大野市)でひざ痛がでました。
憧れの百名山。気力も十分、食べものや水分の補給もしっかり。なのに下山半ばでひざが痛くなり、ついには曲げることもできない。
ロボット歩きのようにしてノロノロ・・・やっとの思いで登山口に到着しました。
余談ですが、この日そのあとに向かったお風呂が「みらくる亭」(福井県福井市市波町、2022年4月からアウトドア施設「ルポの森」)。
ここでピン!ときたあなたはかなりの山好きです。そう、この銭湯は斜面に立地していて、受付からお風呂までがなが―い階段なのです。大本山永平寺の階段よろしくひぃひぃ言いながら登って脱衣所へ。そして脱衣所から湯舟までがまた階段なのです!!!
余談はさておき、ひざ痛。人生初のひざ痛は「これって疲労骨折?!」と思うほどだったのですが、翌朝にはケロッと痛みがなくなっていました。
なんなんだろう・・・と思いつつも喉元過ぎればで、2週間後に向かったのは三ノ峰。
ここでも同様、下山途中からひざ痛でよたよた歩きに。
ああ、やっと念願の山歩きをはじめることができたのに。
こんなに山歩きが楽しいということを知ってしまったのに。
やっぱり運動と縁のなかった私には望むこともかなわない世界だったのか… 本当に悲しかったです。
結論から申しあげますと、登山2年生以降の私はひざ痛から解放されています。
その理由はなによりも、私のひざ痛の原因が圧倒的な筋力不足からくるものだったから。
ほとんど運動したことがなかったのに、いきなり一日何時間も山道を登り下り。あるかなきかの私の筋肉はそのいきなりの重労働に耐えることができず(当然といえば当然)、悲鳴を上げていたわけです。
遊山行マウンテニヤリングツアーで初の雪山に行ったときは、たいへんな好天に恵まれて、下りはふっかふかの新雪。ひざの痛みを怖がっていましたが、新雪のクッションにたすけられて雲のうえを歩いているような楽しさでした。
あきらめなくてはいけないのかと思い悩んでいたのに山が歩ける!
その嬉しさでどんどん雪山に向かうようになりました。
里山の雪山は下りはたのしいですが、登りはやはり大変。雪に足がとられる、沈みこむ。そして和かんじきやアイゼンで足に重りをつけたような状態。
たのしい雪山シーズンが過ぎて春の山を楽しむころ、そういえば下山時のひざ痛がなくなっている!
うれしい! でもなぜ?
調べてみると、運動と無縁の生活から一転、日帰りとはいえ定期的に山に登るようになり、雪山の時期も過ぎたころには大腿四頭筋など膝まわりの筋肉が鍛えられてきたからではないかと思いいたりました。
・膝まわりの筋肉の強化は、膝の痛みを防ぐ方法として非常に効果的 ・軟骨のすり減りも、筋肉を増やすことによって間接に隙間をつくることができる ・筋肉が関節を安定させる役割を果たす
山歩きをはじめたはいいけれど、ひざ痛に悩まされはじめた・・・という方!
その痛みは翌朝にはケロリとなくなっていますか?
登りは平気なのに下りになると痛いですか?
➡おめでとうございます。あなたは筋力不足です。とくに膝まわりの筋力をつけましょう。
その痛みは翌朝以降にもしつこく残っていますか?
登りのときも痛くて、なんだったら日常生活でも痛いですか?
➡うう。それは単純には解決できないかもしれません。
ひざや関節は、使いすぎると関節内部の軟骨が傷んだり、ひざを安定させる靭帯が緩んだりするそうです。そうなると関節がぐらついたり組織が削れて内部で引っかかったりして炎症が起こるとか…
してよい無理なのか、してはいけない無理なのか。
自己流の判断ではなく、迷ったときはお医者さんにいきましょう。
ストックの活用
山で使う杖のことです。トレッキングポールとも呼びます。ひざ痛に悩む方には、ぜひこのストックの活用を。1本で使う方もありますが、私は2本使いをおすすめします。とくに下りでは、大きな段差にいきなり足をドスンッと下ろすのではなく、まずストックを安定した場所に突き、体重を分散させてから足を下ろします。そうするとひざはもちろん、足首、股関節へのドスンとした響きがびっくりするくらい軽減されます。
登山用のストックは、大きく分けて折りたたみ式と伸縮式があり、素材もアルミ製やカーボン製に分かれます。価格もさまざまなようですが、信頼できるメーカーのものがやはりおすすめです。その利点は、安全基準をしっかり満たしていることはもちろんのこと、季節を問わず使用できる(積雪期のパーツに取り換え可能)、こまかな修理に対応可能、といった点があげられます。
歩きかたを振りかえってみましょう
山の歩き方はフラットフィッティング(flat fitting)※が大原則。
※フラットフィッティングとは、足裏の爪先部分とかかと部分を同時に、且つしずかに着地し、地面から足が離れるときにも爪先部分とかかと部分を同時に地面から離す歩き方です。
「??」な方もいらっしゃいますでしょうか。
私はよく「お能のソロリソロリみたいな感じ」「着物をきているときのように」「土踏まず部分から着地するイメージ」とお伝えしています。
普段通りのかかとからドスンッでは、とくに下りでは一足ごとに足首やひざにたいへんな負荷がかかります。まして登山はすぐに歩数は数万単位。
膝の痛みが気になってらっしゃる方は、山での歩き方をいま一度振りかえってみられるのもおすすめです。
登山はとにかく一歩一歩。登った分は下りてこなくてはいけません。
その一歩一歩が痛い思いをしながらというのは心底つらいもの。
今必要なのは筋トレなのか、歩き方の見直しか、ストック等道具の工夫が生きるのか、はたまた医療の力に頼るべきなのか。
ぜひともご自身の内側に耳をかたむけてみてください。
そして今シーズンも「安全に帰ってこそ登山」を胸に、たのしい山歩きを。
【おまけ(と言いますか次回予告?】
えーーっ、「福井県内の山なら雪のシーズンがひざ痛に悩む方にはおすすめ」て言ってたからそれを期待してるのにナシですか?!とお思いの方!次回に乞うご期待です。
(登山用品店「遊山行」=福井県福井市田原1丁目8-2 服部佐和子)