勾留中の被告との接見を妨害したとして損害賠償請求 1審を支持し控訴棄却 広島高裁

刑事事件の被告の女性が、起訴後の勾留中、広島県警の捜査員に弁護人との接見を妨害されたとして、女性と女性の弁護人が広島県に損害賠償を求めた裁判の控訴審判決が広島高裁でありました。広島高裁は、県に22万円の支払いを命じた1審判決を支持し、県と女性側双方の控訴を棄却しました。

この裁判は、2018年11月、当時刑事事件の被告として勾留されていた女性が、県警の捜査員から任意でDNA型の採取を求められた際、「弁護人と相談したい」と接見を希望したのに捜査員が応じなかったことは接見交通権の侵害にあたるなどとして、女性と女性の弁護人が、県に計440万円の損害賠償を求めたものです。

ことし3月、1審の広島地裁は、捜査員が接見の意向を留置担当者に伝えなかったことを認め、県に計22万円の支払いを命じ、その後県と女性側の双方が控訴していました。

16日、広島高裁の小池明善裁判長は、「DNA型試料を採取する必要性・緊急性があった事情はない上、弁護人への接見要請を無視して採取に応じるよう説得したのは、手段・方法の相当性を欠くというべきである」と指摘。

一方で、「捜査員がDNA型の採取についての説得を打ち切った後、女性の態度などから接見要請が撤回されたと受け止め留置担当者に引き継がなかったのだとうかがわれ、職務上の義務違反は軽微だった」などとして、1審判決を支持し、双方の控訴を棄却しました。

女性側は、「上告するかは今後検討したい」としています。

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