鹿沼の准看護学校が閉校へ 入学者減、大病院では需要低迷 上都賀郡市医師会

上都賀郡市医師会付属准看護学校が入る旧久我小

 上都賀郡市医師会は16日までに、栃木県鹿沼市上久我で運営する付属准看護学校の学生募集を本年度で停止し、2024年度末で閉校することを決めた。入学希望者の減少による経営難に加え、准看護師の需要や就業者数の減少などが理由。少なくとも約半世紀にわたり鹿沼、日光両市と栃木市内の旧西方町エリアの地域看護に人材を供給してきた拠点施設の閉鎖に、関係者からは惜しむ声や戸惑いが広がっている。

 准看護師制度は戦後、看護師不足の解消を目的に創設された。看護師学校養成所で2年課程を学び、試験に合格すると資格を取得できる。都道府県免許で資格取得に要する年数や費用が抑えられる一方、国家資格の正看護師と異なり、法律で医師・歯科医師または看護師の指示の下で診療の補助を行う。

 同校によると過去10年の受験者数は減少傾向で、2017年以降は19年度を除き定員の30人を下回っている。大規模病院では自らの判断で業務を行える正看護師を求める傾向が強くなっており、20年の県看護職員調査によると就業職員数も04年をピークに下降線をたどっている。

 こうした状況を受け同医師会は同校の存廃について検討を開始。今年2月に行った全会員対象のアンケートで大半が「閉校はやむなし」とした回答結果や講師を務める医師の負担なども考慮し、6月の総会で正式に閉校を決めた。

 同医師会参与で同校の奥山明彦(おくやまあきひこ)校長は「需要と供給の両面が先細りしている状況では、閉校はやむを得ない」と苦渋の決断を強調。一方で「個人の診療所などでは准看護師の需要はある。地域の看護人材をどう集めるかは今後の課題になる」と影響を憂慮する。

 すでに3市には閉校の方針を伝達。鹿沼市の佐藤信(さとうしん)市長は「地域で果たしてきた役割を考えれば、残念の一言に尽きる」と話す。

 同校は20年9月に旧久我小の空き校舎に移転し、同居する会社とともに廃校活用のモデルケースの一つとなっていただけに、撤退後のスペース活用も新たな課題となる。

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