海側からしか見えないトカラの滝 落差283メートル、九州一の可能性 諏訪之瀬島「白水の滝」 奄美の滝を102メートル更新

283メートルの落差が確認された「白水の滝」=十島村諏訪之瀬島(同村提供)

 鹿児島県の十島村教育委員会は16日、諏訪之瀬島北部にある「白水の滝」の落差が283メートルであることを明らかにした。これまで奄美市名瀬小湊にある落差181メートルの滝が九州最大とされていることから、白水の滝が九州では最も落差が大きい可能性がある。肥後正司村長は「トカラの自然が生んだ素晴らしい資源。広くPRしていきたい」と意気込む。

 白水の滝は、島北部の富立(とんだち)岳(標高536メートル)の南東に位置し、海側からしか見ることができない。島民や漁師らは以前から滝の存在を知っていたが、落差や水源の場所など詳細は不明だった。

 調査は長年、諏訪之瀬島の火山噴火を独自に研究する青木章さん(73)=島根県出雲市=や大学生、島民の6人が実施。7月、滝に沿って探索し、水源と思われる場所を3カ所見つけた。そこからドローンを飛ばして上空写真を撮影。国土交通省大隅国道事務所が、写真と数値標高データと照らし合わせて3カ所の標高を確認した。

 その結果、最も高い水源が283メートルの地点にあることが判明。青木さんは「これだけ落差がある滝はめったにないのではないか。まだ、全てが分かったわけではないので調査は続けたい」と話している。

 村は来年1月、村文化財指定に向けた保護審議会を開く。その後、県文化財指定を目指す。村営船での滝の紹介や写真家、ロッククライマーの誘致など、観光資源としての活用も検討する。

【地図】十島村・諏訪之瀬島の白水の滝の場所
(別カット)283メートルの落差が確認された「白水の滝」=十島村諏訪之瀬島(同村提供)

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