思い出の“ビワの木” 園児と一緒に成長25年 大村幼稚園 閉園前に演奏会

大村幼稚園に在園中、ビワの種を植えた大場さん(右)。ビワは5メートルほどに成長し、初夏には甘い実を付け子どもたちのおやつになっている=大村市

 本年度末で閉園することが決まっている長崎県大村市玖島1丁目の市立大村幼稚園の敷地内に、3本のビワの木が植えられている。25年ほど前に同園に通っていた大場日香里さん(29)=同市久原1丁目=が、在園中に種を植えたもの。現在はチューバ奏者として活躍している大場さんは6日、閉園前にかつての学びやを訪れ、子どもたちに演奏を披露した。
 当時、スイカやヒマワリなど種を集めることが好きだったという大場さん。ある日、家で食べたビワから大きな種が出てきたことに喜び、園に持って行って教諭と一緒に植えたという。
 池上澄香園長によると、大場さんが卒園後も教諭や子どもたちが水やりなどの世話を続け、少しずつ成長。現在では3本とも5メートルほどの大きさになった。初夏になると甘い実を付け、子どもたちのおやつとして振る舞われているという。池上園長は「季節感を子どもたちと一緒に味わうことができた。子どもと一緒に成長し、見守ってくれた存在」と話す。

チューバの演奏に合わせて踊る園児ら=大村幼稚園

 大場さんは6日、いずれも今後の閉園が決まっている大村、西大村、福重の市立幼稚園3園の子どもら約30人を前に、チューバの演奏を披露。楽器の大きさや重厚な音に子どもたちは「ゾウさんみたい」などと大はしゃぎ。「あわてんぼうのサンタクロース」や「赤鼻のトナカイ」などのクリスマスソングに合わせ、一緒に歌ったり踊ったりして楽しんでいた。
 「クリスマスや泥遊びなど思い出が詰まった場所がなくなるのは寂しい」と大場さん。閉園後、ビワの木がどうなるのかは決まっていない。「自分が植えた種から芽を出し、多くの人に幸せを届けてくれた木に、まずは『ありがとう』と声をかけたい」と話した。

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