メクル第687号 消しゴムでどうして字が消せる? 意外と知らない 文具の不思議

さまざまな体験を通して文具の仕組みを学べる企画展=長崎市科学館

 身近な文具の仕組みを解説(かいせつ)する企画展(きかくてん)「文具を科学する」が長崎市油木町の市科学館で開かれています。「のりはどうしてくっつくの?」「はさみはどうして紙が切れるの?」といった意外と知らない文具の不思議を、楽しく体験しながら学べます。

 子どもたちが毎日使う文具の仕組みや隠(かく)された技術(ぎじゅつ)を知ることで、科学に興味(きょうみ)を持ってもらおうと企画されました。鉛筆(えんぴつ)、消しゴム、セロハンテープ、はさみ、のりなど約10種類の文具について、実物やパネルで紹介(しょうかい)しています。
 鉛筆については、作り方や芯(しん)の濃(こ)さの違(ちが)いなどを説明。鉛筆は、木の板に溝(みぞ)を彫(ほ)って芯をのせ、別の板を上から重ねて貼(は)り合わせた後、鉛筆の形に削(けず)り出して作ります。芯は黒鉛という炭やダイヤモンドの仲間の鉱物(こうぶつ)に粘土(ねんど)を混(ま)ぜたものでできています。

鉛筆ができるまで

 鉛筆に書かれている「2B」や「HB」などの記号は、芯の「濃さ」と「かたさ」を表しています。Bは「BLACK」(ブラック 黒い)、Hは「HARD」(ハード かたい)の頭文字で、Hに付く数字が大きいほど色が薄(うす)くてかたく、Bに付く数字が大きいほど濃くてやわらかいことを示(しめ)します。この違いは、芯に入っている黒鉛と粘土の割合(わりあい)の違いで、例えばHBは黒鉛が7割、粘土が3割入っています。
 のりで紙同士を貼り合わせることができる仕組みは、紙の表面にある目に見えない小さな溝が鍵(かぎ)。その溝にのりが入って乾燥(かんそう)して固まることで、紙同士を固定してくっつけています。
 このほか、消しゴムで字を消す仕組みや色えんぴつ用の消しゴムとの違い、セロハンテープの構造(こうぞう)や、ホワイトボード用のマーカーはどうしてきれいに消すことができるのかなどを、文具に触(ふ)れたりクイズに答えたりしながら知ることができます。

消しコムで字が消せる仕組み

 同館の柳川智栄美(やながわちえみ)さん(30)は「皆(みな)さんが使う身近な文具にはいろいろな科学的な要素(ようそ)があります。触(さわ)ってみてどうしてかなと思ったら説明を読んで、楽しみながら学んでください」と話しています。
 企画展を訪れた諫早(いさはや)市立西諫早小2年の二見樺音(ふたみかのん)さん(7)は「ホワイトボード用のマーカーを水に付けるとインクが浮(う)かせられるのがすごいと思った。おうちでやってみたい」、長崎市立鳴見台小1年の本田涼惺(ほんだりょうせい)さん(6)は「大きな模造紙(もぞうし)に絵を描(か)くのが楽しかった」と感想を述(の)べました。
 企画展は来年1月29日まで。無料。

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