現代社会象徴するパチンコ3部作 彫刻家藤原さん ポート津山で個展

パチンコ台が円環状の光を放つ新作の「FEVER」

 津山市川崎の文化施設「ポート アート&デザイン津山」で、彫刻家藤原勇輝さん(45)=鳥取市=の個展が開かれている。パチンコを題材にした抽象的な立体作品3点を並べ、現代社会を独特の感性で捉えている。

 藤原さんは身近な娯楽のパチンコを切り口にした創作で社会構造を可視化する試みを数年前から続けている。個展は「パチンコ3部作『777―スリーセブン』」と銘打ち、2019年に岡山県奈義町現代美術館(同町豊沢)で開いた展覧会出品作の制作手法をアレンジした2点と新作1点を披露した。

 アレンジ作は、約20万個のパチンコ玉を1辺2.6メートルの三角すい状に積んだ「PYRAMID(ピラミッド)」と、パチンコ台のくぎ約1万本を打ち付けた板(縦1.8メートル、横2.7メートル)の中央付近に玉を1個置いた「MASS(マス)+GAME(ゲーム)」。ピラミッドは銀色の玉を金色、マス+ゲームは板に打ち付けたくぎ1本ずつに5円玉を通す改良を加え、それぞれ資本主義、社会主義を象徴させた。

 新作は壁にパチンコ台8基を放射状に並べた「FEVER(フィーバー)」。壁のボタンを押せば台が光を放ち丸くつながって見える仕掛けで、資本主義や社会主義とは異なる新たな価値の創造を意識したという。藤原さんは「作品を通じてイメージを膨らませて」と話している。

 来年1月29日まで。午前10時~午後6時(入館は同5時半まで)。火曜と12月29日~1月3日、11日は休館。入場無料。問い合わせはポート津山(0868―20―1682)。

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