栃木県内全市町、高3まで医療費無料化へ 県の制度拡充が後押し

子ども医療費を巡る県内市町の対応

 栃木県が来年度から子ども医療費助成制度を拡充するのに合わせ、県内9市町が無料化の対象年齢の上限を高校3年生まで引き上げる方針であることが17日までに、各市町への取材で分かった。本年度までに実施済みの16市町と合わせ、県内全25市町で高校生まで医療費無料の対象となる。少子化や人口減少を食い止めようと各市町が無料化年齢の上限を競う状況が続いてきたが、ようやく足並みがそろうことになる。

 現行の県の助成制度は対象年齢が小学6年生までで、給付方法は未就学児が医療機関で立て替え払いが不要な「現物給付」、小学生は保護者が医療機関で立て替えた後に市町に請求する「償還払い」。市町は県制度に独自に予算を上乗せし、年齢の上限を高校生や中学生まで引き上げている。

 市町の要望を受け、県は来年度から現物給付を小学生まで、償還払いを中学生まで引き上げることを決めた。助成拡充で浮いた財源を子ども関連事業に充てるよう県が市町に求めており、高校生までの引き上げを打ち出す市町が相次いだ。

 来年度から新たに高校生を無料化するのは鹿沼と小山、真岡、那須烏山、上三川、益子、茂木、市貝、那珂川の9市町。いずれも現物給付とする方針で、大田原と矢板、芳賀、野木の4市町は高校生を償還払いから現物給付に改める。足利市は今年10月から現物給付の対象を高校生まで引き上げており、栃木市は来年1月に引き上げる。

 那須塩原市は現在、中学生までを現物給付とし、高校生は窓口の支払いが2千円以下の場合は家庭で自己負担してもらい、2千円を超えた場合は2千円を差し引いた額を償還払いしている。来年度からは自己負担を廃止して全額を償還払いとし、実質的に無料化する。現物給付の導入は「今後の検討課題」としている。

 独自の財政負担で既に高校生までの医療費を無料化してきた市町では、子育て支援施策の充実を図る動きが広がっている。

 児童生徒数が最も多い宇都宮市では、県の制度拡充で年間約2億円が浮くと試算。市独自の不妊治療支援制度などの施策に充てる見通しという。さくら市も、子ども食堂や障害児保育を行う施設などへの助成に充てる方針を表明している。

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