「人生懸けている」地球の裏から“W杯ローン”を組み集結のサポーターも サッカーどころのアナウンサー3泊4日カタールW杯観戦記“ドーハの街でハットトリック!”③

中東の小国に世界中から人が押し寄せた

熱戦が続いたFIFAワールドカップも残るは、決勝戦の1試合のみ。世界のサッカー愛をこの目で見て、肌で感じたいと思い、日本を飛び出した観戦記の第3弾はいよいよ、サッカーについて語ります。

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私が出会ったサッカーを愛する各国のサポーターをご紹介します。まずは、スタジアムについて。事前情報で凍えるほど空調が効きすぎていると聞いていたスタジアム。階層の問題もあるかもしれませんが、私が行った4つのスタジアムのうち、空調が効いていたのは一つだけ。寒さの程度も半袖で耐えられるぐらいでした。

「4年に一度のW杯に人生を懸けている」ブラジルサポーターとともに

寒さそこそこ、エアコン付きのスタジアム

中東の小国・カタールは秋田県と同じぐらいの面積の国で、そのエリアに世界中から人が集まるのは、後にも先にも今回だけだろうといわれていた今大会。そんな中、3日間の滞在中に私が話した方の国の数は38カ国でした。

ん?なにか違和感がありますよね。今大会の参加国は「32」。しかも、私は、出場した全ての国の人とは、話していません。実は、自国が出場していなくても、はるばるカタールまで観戦に来ている人が大勢いたということなんです。

街中にあふれるサッカー愛

どの国のサポーターに聞いても、口を揃えて「国でサッカーが1番人気のスポーツ」だと話してくれました。一度もW杯に出たことのないインドでさえ、ベンガル地方を中心に、サッカーが「国技」のクリケット人気を上回るほど、盛り上がっているそうです。

2014年には、清水エスパルスでプレーしたことがあるスウェーデンの英雄・フレドリック・ユングベリ選手が現役引退を撤回して、ムンバイシティFCというチームに加入するなど、外国人選手の補強に力を入れ始めているチームが多いとのことでした。

インド人の家族と昼食を一緒にした際に、キラキラした目で「サッカー選手になりたい」というお子さんを前にしたお父さんの苦笑いが印象的でした。

借金しても応援したい

目についたのは、南米やアフリカのサポーターの圧倒的な多さ。ブラジル人に話を聞くと、なんと、ブラジルには「W杯観戦ローン」というものがあるとのこと。「俺らは儲かってないけど、4年に一度の大会のために人生を懸けているんだよ」と。彼らにとってサッカーは、もはや、単なる娯楽ではないのです。

世界の共通言語、サッカー!

しかし、我らが日本人も負けていません。私が出会った中では、2人が仕事を辞め、カタールに来ていました。ほかにも、日本が初めて出場した1998年フランス大会以降、W杯を全て現地で観られている人など、日本人サポーターの熱も半端ではなく、うれしく思いました。

最後にこの大会を通して、私が実感したのは「サッカーは世界共通言語」ということ。私は英語をほとんど話せません。それでもお互いの選手の名前を呼び合うだけで、リスペクトの証になり心がつながりました。

「シンジ!オノ!」「ゴールキーパー!カワグチ!」

日本代表のレプリカユニフォームを着た私を見て、外国の方はこう熱く声を掛けてくれました。

(文:SBSアナウンサー 瀬﨑一耀)

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