『高校野球界躍進』選抜“2校出場”濃厚 競技人口の減少など課題も <長崎スポーツこの1年>

県勢初の選抜大会2校同時出場を確実にした長崎日大(左)と海星=沖縄県沖縄市、コザしんきんスタジアム

 高校野球界は躍進の1年になった。春の甲子園で長崎日大が強豪と好勝負を繰り広げると、夏は海星が3回戦に進出。両校は新チーム移行後の秋の九州大会も活躍。長崎日大が準優勝、海星が4強入りして、県勢初となる選抜大会2校同時出場が濃厚になった。長崎県のレベルが上がってきたことを結果で示した。
 近年の県内の構図は夏の大会を見れば分かりやすい。他県は甲子園に連続出場するチームが少なくない中、長崎大会は2012、13年の佐世保実を最後に連覇をした高校はない。ここ10年間で6校が優勝(20年はコロナ禍で独自県大会)している。創成館や大崎などの台頭も要因の一つで、17年は創成館、20年は大崎が秋の九州王者に輝き、ライバルたちが奮起する起爆剤になってきた。
 そんな中、県内でそれぞれ昭和最多、平成最多の甲子園出場を誇る海星と長崎日大が躍動した今年。春の選抜大会は長崎日大が準優勝した近江(滋賀)と延長タイブレークの熱戦を演じた。夏の選手権は海星が日本文理(新潟)や天理(奈良)の名門を倒した。08年以降、夏の県勢は全国1勝がやっとだったが、昨年の長崎商に続いて16強入りした。
 両校は新チームでも快進撃。秋の県大会を制した長崎日大は、続く九州大会で文徳(熊本)、日本ウェルネス(沖縄)、大分商を倒し、逆転負けした沖縄尚学との決勝を含めて4試合で43安打を放った。県大会2位の海星は東海大熊本星翔、西日本短大付(福岡)の県1位校にいずれも1点差で競り勝ち、準決勝は沖縄尚学に逆転サヨナラ負けの僅差だった。
 試合内容を考慮しても悲願の選抜ダブル出場は確実。長崎県からの選出も4年連続に更新する。県内でしのぎを削りながら、どこが甲子園に出場しても期待できる“いい流れ”ができている。
 一層のレベルアップに向けて、この流れ、勢いに乗らない手はない。競技人口の減少や有望な中学生の県外流出などの課題も山積している。
 さらに高校野球は例年、12月から翌年3月初旬まで対外試合が禁止されている。この期間をどれだけ有効に使えるかも大切だ。地道な練習による各チームの底上げはもちろんだが、全体の旗振り役となる県高野連をはじめとする関係者に一層の連携と工夫が求められる。


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