豊島区・高野区長の発言「ヨドバシ参画に反対」に波紋広がる

豊島区長の発言が議論を呼んでいます。豊島区の高野之夫区長は12月14日に臨時の記者会見を開き、百貨店の西武池袋本店に家電量販店のヨドバシカメラが入ることに対して反対を表明しました。街の人たちはどのように捉えているのでしょうか。

投資ファンドに売却されることが決定している池袋駅前の西武池袋本店について、その一部フロアにヨドバシホールディングスが家電量販店の出店を検討していることに対し、地元・豊島区の高野区長は14日の臨時会見で「(ヨドバシカメラが)低層部に入ることは絶対に、絶対に反対したい」と述べ、真っ向から反対しました。

池袋の街には駅前に多くの家電量販店があり、区長がヨドバシカメラ出店を反対した池袋西武本店のすぐそばにはビックカメラが、さらにヤマダ電機もそれぞれ複数店舗を構えています。また、駅を挟んだ反対側には東武百貨店の中にノジマもあります。

池袋駅前にすでに多くの家電量販店がある中、なぜヨドバシカメラの参画にだけ「ノー」を突き付けるのでしょうか。高野区長は理由について、ルイヴィトンなどの高級ブランドが現在入る西武池袋本店の低層階へのヨドバシの出店が「家電量販店の激化」や「海外ブランドの撤退につながる」として、今後、出店計画の見直しを働きかける方針です。

これに対し、街の人に意見を聞きました。「決してヨドバシカメラが違法な行為をしたわけではない。高野区長の気持ちも分からないわけではないが、1つのブランド・企業に物申すではないがそれは言っていいことではないと思う」」「(ヨドバシが店舗として)入ってもいいと思う。確かに競争激化になるかもしれないが、それは個々の店が頑張ればいい話」という意見が多く聞かれた一方で、「変革はその時代によって必要かもしれないが、駅前の西武がなくなるのなら寂しい。(区長の意見に)賛成」という声も聞かれました。また、「確かに家電量販店ばかりできても…。違う店ができた方が楽しいのは一理ある。ただし、もし家電量販店がいっぱいできれば、それはそれで街の特色になる可能性もあるし、そちらで強みを探すこともできる。もっとプラスに捉えてもいいのではないか」という意見もありました。

一方、ヨドバシホールディングスの広報担当者は TOKYO MXの取材に対し「現時点ではコメントを差し控えたい」としています。また、豊島区を地盤とする東京都の小池知事は12月16日の定例会見で記者から問われると「高野区長はこれまで池袋というと『暗い』『汚い』『怖い』3Kだと(言われていた)それをアートの力で変えるんだと言って、イメージを大きく変えてきた。そういう思いの中で、電気街になっていいのかという率直な思いを述べたのではないかなと思う」とコメントしました。

百貨店を巡る計画が「池袋の将来像」に波紋を広げています。

<議論呼ぶ高野区長の"ヨドバシ反対”>

議論を呼んでいる豊島区の高野区長の発言に至るまでの経緯を改めて振り返ります。

百貨店のそごう・西武を巡っては、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが、11月にアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループに売却することで合意したと発表しました。そしてフォートレスのビジネスパートナーであるヨドバシホールディングスと連携して、業績不振が続くそごう・西武の再建に参画することになっています。

しかし、これを受けて高野区長は「ヨドバシカメラの出店が想定される」として反対を表明しました。高野区長はヨドバシ反対の理由として「家電量販店の激化」「西武池袋本店が展開する海外ブランドショップの撤退をもたらす」として、その結果、これまで街づくりの中で築き上げた"文化の街・池袋”の土壌が喪失してしまう恐れがあると説明しました。

高野区長は西武池袋本店について"池袋の顔”だとして、存続に関する嘆願書を西武ホールディングスに提出しています。

渦中のアメリカの投資ファンドが出す今後の計画も注目されます。

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