強豪ブリンク・モータースポーツは電動化初年度に向け『テスラ・モデル3』にスイッチ/STCC

 アウディ陣営のトップカスタマーチームとして、TCR規定のSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権で毎年のようにタイトル争いを繰り広げてきた強豪ブリンク・モータースポーツが、来季2023年より完全電動化を果たすBEVシリーズに向け、マニュファクチャラーのスイッチを表明。新たに『テスラ・モデル3』を投入し、3台体制で戦うことをアナウンスした。

 2017年のチャンピオンシップ初参戦以来、一貫してアウディRS3 LMSシリーズを走らせてきたチームは、すでにフル電動チャンピオンシップに生まれ変わるSTCCへの参戦確約を1番乗りで発表済みだった。

 同じくアウディを走らせていた新興エクシオン・レーシングは、いち早く『BMW i4』へのスイッチを表明し、参戦2年目ながらシリーズへのコミット継続を確認した3番目のチームとなっていたオートラウンジ・レーシングは、新たにフォルクスワーゲンの電動化ブランドの基軸モデル『ID.3』を投入することが確定。

 そうした動きに対し、ブリンク・モータースポーツのチームマネージャーを務めるテッド・ブリンクは「2023年のSTCCタイトルを追求するための武器として、新たに『テスラ・モデル3』を採用できたことを非常に誇りに思っている」と意気込みを述べた。

「ドライバー構成は近日中にも皆さんにお伝えできる予定だが、我々は来季のグリッドに3台のクルマを送り込み、このモデル3でチームとSTCCの双方を新しい時代に導くことを本当に楽しみにしている」

 そのSTCCでトップチームとして君臨し、強力無比なコンテンダーとしてブリンク・モータースポーツの前に立ち塞がってきたPWR Racingは、シリーズの電動化時代に向け重要な役割を担い、チームの独立した研究開発部門『EPWR』社が開発する電動パワートレインのキットが、各競技車両に組み込まれる計画となっている。

改めて、主要ツーリングカー・シリーズへの本格参戦が決まった『テスラ・モデル3』
チームは2017年のチャンピオンシップ初参戦以来、一貫してアウディRS3 LMSシリーズを走らせてきた

■テスラでのSTCC参戦は「我々にとっても正しいことだと感じている」とトビアス・ブリンク

 搭載されるモーターは最高出力550PSを想定し、リヤ駆動での0-100km/hは3秒以下、最高速も300km/h以上をマークする。そのエネルギー供給源には800Vの高電圧を利用する45kWhのリチウムイオンバッテリーが予定され、そのサプライヤーには元WRCドライバーのマンフレッド・ストール率いる技術企業STARD(ストール・アドバンスド・リサーチ・アンド・デベロップメント)が指名されている。

 2022年にもチームのリードドライバーとしてチャンピオン争いを繰り広げ、惜しくもランキング2位に敗れたトビアス・ブリンクは、2023年に「テスラのうちの1台で勝負できることにワクワクしている」と、新時代への抱負を語った。

「我々はアウディスポーツとの強力なパートナーシップにより成功を収めた6年間のシーズンを経て、STCCでトップに立ち、強力な組織に成長することができた」と続けたトビアス・ブリンク。

「そして次の時代に向け選択したテスラは、自動車業界で最大のパイオニアであり革新者だ。 もちろん、この新しいSTCCで彼らのモデルで参戦することは、我々にとっても正しいことだと感じている」

「個人的にも、ドライバーとして新しい技術規定のクルマを本当に楽しみにしているし、その哲学は絶対的に正しいね! より多くのパワーを備え、すべてのトルクが即座に供給され、後輪を介してそのパワーが路面へと伝わり、わずかに少ないグリップと、気候に配慮したパワートレインのレイアウトは、完全に僕の好みのレシピだよ」

「ドライバーにとっては、より難しくなるだろうね。その結果、より多くのミス、より多くのオーバーテイク、より良いエンターテイメントを生み出すことになる。すごいことになるね!」

「ドライバーとして新しい技術規定のクルマを本当に楽しみにしている」と語ったトビアス・ブリンク(中央)
搭載されるモーターは最高出力550PSを想定し、リヤ駆動での0-100km/hは3秒以下、最高速も300km/h以上をマークする

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