特集「ザ・作州人」 ウエストランド

ぶち笑わしちゃるけん
漫才コンビ ウエストランド

2021年最後の「ザ・作州人」には人気絶頂の漫才コンビ「ウエストランド」に登場してもらった。憧れだけで上京し、ケンカ別れした2人が漫才の頂上決戦「M―1グランプリ2020」ファイナリストに。今年は準々決勝で敗退したが、毒舌でツッコミ役の井口浩之さん(38)と無口のボケ担当、河本太さん(37)ともに「M―1の悔しさはM―1で」と話し、本気で優勝を狙っている。

コンビ名はもちろん、あのショッピングセンター「ウエストランド」からいただいた。ともに津山西中から津山商へ。「ウエランはゲームセンターで遊ぶなど、よく通った場所です」と2人は息の合ったところを見せた。井口さんが言う。
「高校はともにサッカー部。自転車での帰り道、コンビニに寄って、たこ焼き食べて、小田中あたりで別れていました。そのころ、部室なんかでふざけて漫才のまねごとのようなことしていて、卒業したらお笑いやろうとなってました」
しかし、コンビ結成までは紆余曲折があった。井口さんは進学を名目に上京、河本さんは思いつきで築地の寿司店で働くことになったが、気持ちは芸人になりたい一心。それなのに先は見えず、すぐにケンカ別れした。河本さんが言う。
「僕が悪い。寿司店を辞め、相方のところに転がり込んで、ぶらぶらしてたからぶち切れられた」
23歳のころ、都内で開かれた同窓会で再会。井口さんによると「やりたいならやるか」と活動を始めたそうで「当時は居酒屋でバイトし、エントリー費を払って、ライブに出まくりました。芸をするにはお金を払うもんと思い、2年ぐらいフリーでした」と言う。
2010年に縁あって、人気お笑いコンビ「爆笑問題」と同じ事務所のタイタンに所属。ここから少しずつ流れが変わり始める。芸風は、やたら長いツッコミのぼやき漫才。ネタ作りは井口さんが担当している。「はい。100対0でボク。これだけはハッキリ言わせてください」と、ここからは毒を吐きまくった。

「河本はネタは書かんし、声小さいのに、よく噛む。高校のサッカー部は部員12人で唯一の補欠。時間、あるからマネジャーとできて、それがいまの嫁さん。2つ下。上京してきた彼女の部屋に転がり込んでいまがある」
そんな2人の目標は津山出身者として、超大物のB’z稲葉浩志さんや俳優のオダギリジョーさんに続くこと。「漫才ではウエストランドと言われるように」と話し、津山にいる中高生に向けては「お笑いでも音楽でも、やりたいことがあるのなら大阪でも東京でも飛び出して行ったらいい。こんなボクらを励みに」とエールを送った。
最後に目標を聞くと井口さんは「ボクはテレビで育った。たくさんテレビに出たい」と答え、河本さんは「まずは娘2人を食わしていけるように。あと、井口はおもろいので、彼のことをもっと知ってもらえるように自分のできることをやっていきたい」と、らしい言葉を返した。
M―1ファイナリストはテレビ、ラジオの出演が増え、YouTubeでも活躍。23日放送「秘密のケンミンSHOW極」にも岡山県人を代表して出演する。いまや、目が離せない人気漫才コンビだ。(山本 智行)
◇井口浩之(いぐち・ひろゆき)1983年5月6日生まれ。津山商から千葉商科大卒。ツッコミ、ネタ作り担当。祖父は津山市の元助役で兄も芸人。独身。B型。

◇河本太(こうもと・ふとし)1984年1月25日生まれ。津山商卒業後に築地で寿司職人の道へ進むも早々と挫折。ボケ担当。家族は妻・幸江さんと娘2人。A型。

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