県立図書館にアーカイブ学会賞 西日本豪雨の電子記録保存を評価

西日本豪雨に関する写真や動画を公開している県立図書館のシステム

 岡山県立図書館(岡山市北区丸の内)は、運営する電子図書館システム「デジタル岡山大百科」を通じて2018年に発生した西日本豪雨の被災地の写真や動画を保存、公開している取り組みが評価され、学識者や官民の施設関係者らでつくるデジタルアーカイブ学会の実践賞に選ばれた。受賞は全国の公共図書館で初めて。

 災害対応を担う県危機管理課と協力し、甚大な被害を受けた倉敷市真備町地区を中心に計1073件を公開。家屋の2階の高さまで水没した発生直後の状況をはじめ、小学校の体育館に開設された避難所、被災地に駆け付けた医療チームなどに関するコンテンツを地域別、項目別にまとめている。

 デジタル岡山大百科は県立図書館が開館した04年度から運用し、県民から寄せられるなどした郷土情報を公開している。22年3月末現在、映像コンテンツや古地図、古文書など22万4932件を登録。パソコンやスマートフォンから誰でも利用できる。

 デジタルアーカイブ学会賞は18年度に創設され、授与は今回で4回目。全5部門あり、県立図書館が受けた実践賞は電子記録の構築や継続に優れた功績を残した個人や団体を対象としている。

 県立図書館は「開館以来続けてきた取り組みが評価されたと受け止めている。アーカイブをさらに充実させ、県の歴史を後世につないでいきたい」としている。

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