れいわ新選組は山本太郎氏と女性連合の共同体制に、初めてづくしの代表選が残したものとは

れいわ新選組公式サイトより

れいわ新選組代表選で圧勝した山本太郎氏は12月19日、同選挙で次点だったくしぶち万里氏と大石あきこ氏の両衆議院議員を共同代表に指名しました。来年1月1日からスリートップの新体制がスタートすることになります。新体制の任期となる2025年12月までの3年間には統一地方選挙などが控えており、各代表は党勢拡大を目指す方針を示しています。

昨日の敵は今日の友、「対抗馬」と三頭体制に

れいわ新選組の組織化に必要な2人――代表選開票日の翌日12月19日に開いた会見で、山本代表は選挙戦の「対抗馬」だったくしぶち氏と大石氏の両名を共同代表に指名した理由をこう話しました。3人の共同代表制では「基本的には合議で進める」とし、現状では権限に差がないものの「今後の議論で規約の改正などはありうる」との見通しを示しました。

山本氏が2019年に立ち上げた同党は現在、国会議員8人・地方議員(公認候補予定者含む)46人と勢力を広げてきましたが、来春の統一地方選では全国で100人の候補者擁立を目標に、さらなる党勢拡大を目指しています。ただ、山本氏は自身が単独代表を務めた1期目には「党と支持母体の一般市民をつなぐ、深い議論をしていく取り組みはしっかりできてこなかった」と反省を述べました。その上で、くしぶち氏と大石氏には「市民から意見をくみ取るためのキャッチボールを行うには一定の組織化が必要。それを進めるのは実務能力が高い2人しかいない」と太鼓判を押します。

山本代表からの期待を受け、くしぶち氏は代表選でも公約に掲げた党内へのボランティアのプラットフォーム立ち上げに意欲を示しています。同日の会見では、「これまで各地域のボランティアが蓄積してきたノウハウやスタイル、ツールを相互交流して総合力とする場づくりをしたい」と語りました。

大石氏も共同代表となることで、公約とした「山本太郎を一人にさせない」ことに力を注ぐと説明。現在は山本氏が一手に主導している国会での論戦や党務について役割分担を果たすことで、「統一地方選までに(山本氏の)自由な企画を増やしていきたい」と話しました。

代表選は山本氏が過半数得票で圧勝、古谷氏も善戦

12月18日に開票された同党にとって初の代表選には山本氏、大石氏・くしぶち氏の共同連合、経済評論家の古谷経衡氏の3陣営が出馬していました。

投票には党所属議員や全国の党員が参加し、全18票を争った結果、山本氏が8.83票、大石・くしぶち連合が4.36票、古谷氏が3.81票を獲得しました。

このうち票数の半分を占めた国会議員・役員からの計9票は山本氏と大石・くしぶち連合がそれぞれ3票ずつ、古谷氏が2票と拮抗する結果になりました(1票は白票)。

一方で、得票数に応じて票を按分することとした有料会員の「オーナーズ」と無料会員の「フレンズ」、地方議員・候補者では山本氏がいずれも過半数超えの得票だった一方で、次点には古谷氏が躍り出ました。

唯一、党に所属していない候補だった古谷氏は選挙戦で「れいわ新選組は左派ポピュリスト政党という不当な評価を受けている」と主張し、「”正統中道”政党への脱皮」という独自の公約を掲げ、支持層を広げることを訴えていました。開票結果を受け、「共感してくれた人が多かったことが得票につながった」との手応えを語っていました。

大石氏は「古谷氏の登場は試練だった」と選挙戦を振り返った一方で、今後の党勢拡大のためには「同盟関係を結ぶべき仲間」だと評価しました。山本氏も「党内のしかるべきポジションに座ってもらい、活動してほしい」と希望しています。

1枚看板からの脱却なるか!?

党の創始者でもある現代表に、現職の国会議員連合と民間有識者が挑んだ今回の代表選。山本代表は、来年1月から始まる2期目の3年間で、①支持者とのパイプ強化②大政翼賛化している国会内で「炭鉱のカナリア」の役割徹底③物価高での積極財政、背骨ある経済政策の実現――の3点を目標に設定しました。

同党にとっては、初めての代表を選ぶ選挙、初めての共同代表制の導入と、初めてづくしの選挙となりました。投票率をみると、オーナーズが83.4%、フレンズが65.1%、地方議員・候補者が76.1%と、関心の高さがうかがえます。

代表選を通じては、これまで国会論戦や地域での遊説活動の中心となってきた山本氏の党内での役割分担や、全国での支持層拡大に関する議論が交わされました。同党が今後党勢拡大を図るためには、この代表選のプロセスを活かし、いかに1枚看板からの脱却を図るかがカギとなりそうです。

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