ウエストランドが「M-1グランプリ」18代目王者に! 河本が見せた涙の理由とは?

知名度、プロアマ問わず、“とにかくおもしろい漫才”で漫才の頂点を争う「M-1グランプリ」。昨年、史上最年長50歳のボケと43歳のツッコミのコンビ・錦鯉が優勝したこともあり、昨年から約1200組が増え、今年は史上最多となる7261組がエントリーし、日本中を漫才で笑わせたいと集った出場者たちによる戦いが繰り広げられてきた。そして、12月18日に「M-1グランプリ2022」の決勝が行われ、同日行われた敗者復活戦の勝者1組を加えた10組が、賞金1000万円と日本一の称号を懸けた最後の戦いに臨んだ。

今年は、真空ジェシカ、ダイヤモンド、ヨネダ2000、男性ブランコ、さや香、ウエストランド、キュウ、カベポスター、ロングコートダディの9組が決勝進出。ダイヤモンド、男性ブランコ、カベポスター、キュウ、ヨネダ2000の5組は、初の決勝進出。準決勝で涙をのんだ17組(コウテイは体調不良のため欠場)による敗者復活戦も行われ、30万人近くにおよぶ国民投票によって、昨年最終決戦まで勝ち残ったオズワルドが、決勝に向けた最後の1枠を勝ち取った。

それぞれが珠玉のネタを披露する中、1stラウンドで上位3組に入った、最終決戦は2年連続決勝進出のロングコートダディ、2017年以来の決勝進出となったさや香、20年以来の決勝進出となったウエストランドに絞られた。そして迎えた最終投票。山田邦子、松本人志ら7人の審査員から6票を獲得したウエストランドが悲願の優勝を果たし、第18代目王者となった。

大会後、テレビ朝日内で行われた優勝者会見に臨んだウエストランド。井口浩之は「もうこれで出場しなくていい。とにかく苦しいので」と安堵しつつ、「『M-1』チャンピオンになる人生だと思っていなかったので意外」と、まだ信じられない様子。「優勝した実感がない」と語る河本太も「チャンピオンですけど、(井口に)ついてきただけですから、7261組の頂点だと思ってないですね」と苦笑。これには井口も「めちゃめちゃムカついてる人、多いと思います(笑)」と口にし、笑いを誘った。

河本は優勝が決まった瞬間の涙の理由を聞かれると、「子どもができてから涙腺がぶっ壊れてすぐ泣いちゃうんです(笑)。自分がチャンピオンになるなんて思ってこなかったですから、まず家族の顔が浮かんで。早く娘の保育園で自慢したいですね」と喜びとともに、率直な心境を明かした。

2020年に決勝に進出した際、「漫才はいいことがなかった人間の復讐(ふくしゅう)劇だ」というフレーズを残していた井口は、その発言に関して「前回は10位よりウケてない9位だったので、今回はネタ2本がちゃんとウケることが目標でした。優勝はその後についてくるものだと思ってました。ウケることができたという意味では、リベンジを果たせたと思っています」と述べた。復讐劇の完成についても問われると、「本当に復讐できたかは今はまだ分からないです。『ふざけるな!』という声がたくさんあるかもしれないので。もう少しいいことがたくさんあったら、復讐できたということにしたいと思います。たぶん、まだ嫌なことはあるでしょうし、いろんな人から狙われそうで怖い(笑)」と、持ち味の毒舌がさく裂した見事なネタ2本を披露したことでの反響を考え、本音を吐露。

決勝戦の1stラウンドでは、最後の10番目となったウエストランド。20年の決勝進出時と同じ10番目となったが、井口は「今回は(同じ事務所・タイタン所属の)キュウと2組で残ったことで、事務所ライブみたいな雰囲気になったのでリラックスできました。運がよかったと思います。10番慣れもあったでしょうし」と話した。一方、ネタの一部を飛ばしてしまった河本は「前回は意識が飛びそうなくらい緊張していて、笑神籤(えみくじ)が引かれるたびにヘトヘトになっていたんですが、今回は待ち方が上手になった気がします」と決勝進出経験者の余裕をうかがわせた。

優勝賞金の1000万円の使い道について聞かれると、河本が「今年崩してしまった学資保険を補填したい」と子どもたちのために使うことを口にする一方で、河本の使い道に「引くわ!」と毒のあるツッコミを入れた井口は「本来なら1000万円(全額)欲しい。ピンの仕事も折半にしてる」と相方への愚痴を口にする場面も。「賞金はありがたいですけど、チャンピオンということが一番デカい。なので、これから忙しくなった時のために、体のメンテナンスに使いたい。常にマッサージに行きながらくらいの感じでぜいたくに」とコメント。

そして、事務所の先輩・爆笑問題の太田光からのエールがあったことも明らかに。「『目の前のお客さんとテレビの前の視聴者を笑わせることがすべてだから』と言われていたので、それはできたと伝えたい」という井口は、「このネタができた時に、たまたま田中(裕二)さんが見てくださって、『このネタいいじゃん」』と言ってくださったんです。その後このネタを決勝でやると言った時に、田中さんはネタのことを1ミリも覚えてなかった(笑)。さすがに今回は喜んでいただけるんじゃないかと思います。早く会っていい報告がしたいです」と笑顔を見せた。

なお、ウエストランドには副賞として、Cygamesから佐賀牛1頭分、サントリーから「打ち上げ用 ストロングゼロ すごいジョッキ」ほか、セブンイレブンから「金のシリーズ×新王者決勝得点分659個」、日清食品から「東京~大阪 ヘリコプター片道券」と「どん兵衛」1年分が贈呈された。さらに、12月26日にはABCテレビ・テレビ朝日系で、今回の「M-1グランプリ」の裏側に迫った「M-1グランプリ2022 アナザーストーリー」(午後11:15)がオンエアされる。

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