年末年始へ県が医療体制強化 初診で診療可能は260カ所に 小児受け入れも拡充

栃木県庁

 福田富一(ふくだとみかず)知事は19日、新型コロナウイルス対策本部会議後の記者会見で、年末年始やインフルエンザとの同時流行に備え医療や検査体制の強化を進め、診療・検査医療機関を新たに36カ所、計718カ所を確保したことなどを明らかにした。29日~来年1月3日には帰省や旅行の前後で検査を受けられるよう、JR宇都宮駅と小山駅、那須塩原駅の3カ所に臨時の無料検査所を設置する。子どもの感染者が急増していることから、小児患者の病床確保なども進めていく。

 県の警戒度は、4段階で下から2番目の「レベル2」(感染拡大初期)を維持することを決定。新規感染者数は増加し、病床使用率は約7割と過去最高水準で推移する一方、重症病床使用率は約2割で、発熱外来の逼迫(ひっぱく)も一部にとどまるとして警戒度の引き上げは見送った。県民や事業者には引き続き感染対策の徹底を求める。

 年末年始は休診が増えて医療が手薄になることも見据え、県はかかりつけ患者以外も診療する医療機関に協力金を支給する独自制度を設けるなどして体制強化を図ってきた。

 かかりつけ患者ではない発熱者の検査・診療を行う医療機関を143カ所増の333カ所、自宅療養者などを初診で診療する医療機関を260カ所確保した。該当する医療機関や、年末年始に休まず診療や調剤を行う医療機関・薬局の一覧を23日から県ホームページで公表する。

 人口10万人当たりの新規感染者数は、10歳未満と10代がそれぞれ1カ月前の約2倍となり、他の年代を大幅に上回る。一方で小児の重症者を受け入れられる病床は限られるため、円滑な入退院を図れるよう自治医科大とちぎ子ども医療センターの医師にコーディネーターを委嘱する方針。

 福田知事は「医療機関や薬局の協力を得ながら引き続き体制の強化を図る。医療逼迫を防ぎ、社会経済活動を継続させるために、年末年始も最大限の緊張感を持った感染対策をお願いしたい」と呼びかけた。

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