岡山のJR全在来線 一時運休 システム障害、影響1.1万人

システムダウンでJR在来線が止まり、立ち往生する人たち=19日午前10時53分、岡山駅

 19日午前9時45分ごろ、JR西日本中国統括本部岡山指令所(岡山市)の運行管理システムが停止する障害が発生し、管轄する岡山エリア(岡山県、広島県東部など)の在来線11路線全てで一時運転を見合わせた。全線で運転を再開するまで約1時間45分かかり、山陽線を中心に10本以上が最大約40分にわたり線路上で立ち往生した。JR西で、県単位以上の広い範囲全体が運休するトラブルは「極めてまれな事態」(同本部)としている。

 同本部によると、障害発生を受けて岡山指令所が制御する各駅の信号機は自動的に赤へ切り替わり、走行中の列車は最寄り駅まで向かって停車した。一部路線では駅へ乗り入れるため順番待ちが発生し、線路上で立ち往生となる列車も出た。同本部は待ちができた駅から列車を待避させながら、順次、立ち往生した列車をホームへ誘導して乗客を降ろしたという。けが人や体調不良を訴える乗客はいなかったとしている。

 障害の影響により、特急を含む上下84本が運休、同66本が最大約2時間遅れ、約1万1千人の足が乱れた。

 同本部によると、社員が運行管理システムの機材を更新する準備作業をしていたところ、電源の配線を誤り、ショートして停電が起きたという。非常用電源も作動せず、部品を交換して電源を復旧させたが、システムの再起動に1時間以上を要した。周辺の機器に目立った破損はなく、20日以降の運行に支障はないという。

機器更新工事で配線ミス JR西会見

 JR西日本の岡山指令所で起きた運行管理システム障害を受け、JR西中国統括本部電気部の芦田正樹課長らが19日、岡山支社(岡山市)で会見し「お客さまに多大な迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げる。原因究明して再発防止に努める」と陳謝した。

 芦田課長らによると、システム停止は、機器老朽化に伴う更新工事で起きた。新しい機器を動かす準備作業の際に、ケーブルのつなぎ方を誤ったという。「通常とは違う電気が流れてシステムがダウンした。列車の位置を表示する画面が消えた」と説明した。

 システム停止の影響については「指令所から駅の信号を制御できなくなり、信号が赤になって列車が止まった。再起動まで動かすことができなくなった」と述べた。更新工事は2024年3月まで続く計画で、再発防止に向け「配線ミスをなくすため、事実関係を確認して対応を考える」とした。

システム障害発生を受けて会見で謝罪する芦田課長(右)ら

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