「あの笑顔に会えないのが寂しい」 稲盛和夫さん母校の鹿児島大で「お別れの会」、800人が偉大な先人しのぶ

祭壇に花をささげる来場者ら=19日、鹿児島市の鹿児島大学(南正和撮影)

 京セラ名誉会長で8月に死去した稲盛和夫氏=鹿児島市出身=の「お別れの会」が19日、同市の鹿児島大学であった。母校でもある鹿大の主催。県内外から親交のあった経済界や行政関係者、一般来場者ら約800人が献花に訪れ、偉大な先人をしのんだ。

 式典は行わず、会場に献花台のほか稲盛氏の言葉などを展示。午前は招待客、午後は一般客が献花した。参列者の中には、会場前に建つ稲盛氏の銅像を写真に収め、故人との思い出に浸る人も多く見られた。

 稲盛氏が卒業した鹿児島玉龍高校の後輩で、南海食品(同市)の渕本逸雄会長(77)は「雨の中、稲盛さんが奥さんに傘を差し掛け、(銅像について)うれしそうに説明する様子がほほ笑ましかった。あの笑顔に会えないのが寂しい」。経営者向け勉強会「盛和塾」で親交があった浜田酒造(いちき串木野市)の浜田雄一郎社長(69)は「喪失感は消えないが、物事を明るく前向きに捉えることを教わった。これからも世のため人のため努力することを遺影に誓った」と話した。

 稲盛氏は1955年に鹿大工学部を卒業し、99年に鹿大初の名誉博士となった。稲盛会館や稲盛記念館の寄贈など、母校の発展のため力を注いだ。鹿大前学長の前田芳實さん(77)は「多大な支援は郷土愛の一つだったのでは」と回想。会うたびに「鹿大がいい大学になるよう願っている」と言われた思い出を懐かしんだ。

稲盛和夫氏の立像=19日、鹿児島市の鹿児島大学
祭壇に展示された名誉博士号の証書と記念メダルなど=19日、鹿児島市の鹿児島大学

© 株式会社南日本新聞社