地元活性化に期待の声 「人材育成、確保」が課題 長崎・諫早に京セラ新工場 

 京セラが長崎県諫早市に半導体関連の新工場を建設する計画を発表した19日、関係者からは地域経済活性化を期待する声が聞かれるとともに、「人材育成・確保が課題」との指摘もあった。
 「雇用拡大、定住促進はもちろん、産業振興、経済発展も期待され、諫早の大きな飛躍につながる」。こう歓迎するのは大久保潔重市長。諫早商工会議所の永江正澄会頭も「諫早市を生活圏とする人が増えてほしい」と話す。
 半導体業界に詳しい熊本大の鈴木裕巳特任教授は「半導体産業は伸びしろが大きく、市場は世界に広がっている。最初は千人規模の計画もビジネス次第でさらに規模が拡大する可能性もあるのではないか」と指摘。「部品供給などで地元企業と協力する場面は必ずあり、大きなチャンス」と述べた。
 一方、「人材争奪戦が激しくなる」と気を引き締めるのは、県内の半導体工場に人材を派遣している地元企業の幹部。諫早市内では拡張工事中のソニー関連工場が来年稼働を予定。世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)もソニーなどと組んで熊本県内で2024年末までの生産開始を目指す。京セラは諫早での操業開始時期を26年としており、この幹部は「県外からも人材を連れてくることになるのではないか」と推測する。
 鈴木特任教授は「求められる人材は電気関係だけでなく化学や物理などさまざまな分野にまたがり、大学などで多様な人材を育てる必要がある」と言う。
 大石賢吾知事は「県と諫早市、県産業振興財団で新工場建設を強くお願いしてきた。今回の決定に深く感謝したい」とのコメントを発表した。


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