荒川氾濫に備え「分散避難」の手引 足立区などが作成

足立区などを流れる荒川の氾濫への備えが進んでいます。台風などによる氾濫時にほぼ全域が浸水する恐れがある足立区が国や東京都と連携し、それぞれが浸水の恐れがない場所に避難する「分散避難」を促す手引を作成しました。

荒川が氾濫した場合、足立区では全域が浸水する恐れがあるため、区の外にどう避難するかが検討されています。国土交通省や足立区が続けてきた検討会議では12月12日、新型コロナ対策を考慮した「分散避難」を促す手引がまとめられました。密になりがちな避難所に集まるだけではなく、浸水の恐れがない親戚や知人の家のほか、ホテルなどに避難することで感染を防ぎやすくなると説明しています。荒川下流分散検討会の松尾一郎座長は「(手引で)命を守る取り組みにつなげてもらいたい。より実効的な避難警告としてようやく発信することができた」と話しています。

足立区では15日、水害が起きた時に区外への避難が難しい「要介護者の避難訓練」も行われました。災害協定を結ぶタクシー会社の車両を使って車いすの高齢者を自宅から避難所まで移動させたほか、参加者は段ボールベッドの寝心地を体感しました。訓練に参加した区民は「設備があるというだけでも安心感がある。早く避難してここで落ち着けるという状態であれば安心できる」と話していました。

こうした中、河川の氾濫が起きた場合に地域で一体となって被害を最小限に抑える「流域治水」を広く知ってもらおうと、国土交通省は「荒川水系流域治水大使」にタレントのなかやまきんに君を任命しました。高い発信力による幅広い年代への啓発を期待しています。なかやまきんに君は「しっかりと行動し、知ることを積み重ねていき、何ができるかということ。命と財産を守ることを意識してほしい」と話しています。

早めの避難が必要となる水害について、いざという時にどう行動するべきかあらかじめ考えておくことが大切です。分散避難についての手引がまとめられたのは今回が初めてで、2023年1月にも公開される予定です。

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