女子野球でまちおこし 田辺市、教室や動画でアピール

フォームのアドバイスを受ける児童(18日、和歌山県田辺市上の山1丁目で)

 全日本女子野球連盟から「女子野球タウン」に認定された和歌山県田辺市で、女子野球を通じて地域を盛り上げようという事業が本格化している。18~20日には元プロら女子社会人クラブチームの選手が訪れ、児童生徒を対象にした野球教室やプロモーション動画の撮影があった。

 田辺市は女子野球の大会や合宿を積極的に受け入れていることなどが評価され、昨年10月にタウンに認定された。現在は全国で12自治体が認定されている。

 18日は田辺市上の山1丁目の田辺スポーツパーク室内練習場で野球教室があった。元女子プロ野球選手で市和歌山高校出身の川端友紀選手(九州ハニーズ)や東海NEXUS、阪神タイガースWomenの選手ら計7人が指導。田辺・西牟婁の小中高校生約20人が参加し、置いたボールを打つ練習やキャッチボール、体幹トレーニングなどの後、ゲーム形式の練習で交流を深めた。

 田辺第二小6年の楠本悠月さんは「ゲームのような練習が楽しかった。中学校でも野球を続けるつもり」、芳養小1年の山本星音さんは「打つ練習が楽しかったし、投げ方も教えてもらった。また参加したい」と笑顔だった。

 全日本女子野球連盟の山田博子会長は「女子の野球人口は12年連続で増加している。競技人口が増えているのには、さまざまな理由があるが女子野球タウン認定事業もその一つ。今回の教室でも、子どもたちと大人が一緒になってとても楽しんでいた。選手たちが親しみやすく、母や姉と話している感覚に近いと思う」と話した。

 19日には、川端選手と元女子プロ野球選手の楢岡美和選手(九州ハニーズ)、只埜榛奈選手(東海NEXUS)の3人が扇ケ浜や天神崎など市内の観光地を巡り、PR動画を撮影した。

 闘雞神社では3選手がおみくじを引き、来季の抱負を語った。その後、同市江川のお好み焼き店で、ご当地グルメとして知られる「江川のちゃんぽん」を食べ、夜には田辺駅前の飲食街「味光路」を訪れた。20日は熊野古道や熊野本宮大社を回った。

 完成した動画は、本年度中に連盟の公式ユーチューブチャンネル「マドンナジャパンTV」で配信されるほか、市のPR動画にもなる予定。

 女子野球の機運は紀南でも高まっている。田辺スポーツパークなどでは、大学女子硬式野球の日本一を決める大会が開かれている。8月には、女子学童軟式野球の全国大会で紀南の選手を含む県代表チーム「和歌山ハーモニーズ」が初優勝。田辺市を拠点にした女子硬式野球チーム「和歌山レジーナ」も活動を続け、県外の強豪高校に進学する選手も出てきた。

 女子野球タウンの認定期間は5年間。市は女子野球と地域資源を融合させて新たな価値を創り出し、活性化につなげたいという。

動画撮影で「江川のちゃんぽん」を食べる川端友紀選手(左)ら=19日、和歌山県田辺市江川で

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