ピアノを鳴らすのは、控えめに言ってもブラボー【榎政則の音楽のドアをノックしよう♪】

福井新聞ONLINEでは、コラム「音楽のドアをノックしよう♪」がスタートします。クラシックやポップスをはじめ、ジャンルを問わず多彩なテーマで音楽の魅力を紹介していきます。筆者は、パリなど国内外でアーティスト活動する作曲家・即興演奏家の榎政則さん。趣味はボードゲームと数学だそうです。第1回は「ピアノを鳴らすのは、控えめに言ってもブラボー」。音楽が好きな人はもちろん、これまでは縁が薄かった人も、新しく音楽の扉を開いてみませんか?

新年に向けてピアノを始めよう

いよいよ年の瀬が近づき、2023年の目標を考え始めている方も多いのではないでしょうか。そんな方に、ピアノを始めることをおすすめします。実は数年前と比べて楽器、特にピアノの人気が急上昇しています。

反田恭平さんのショパンコンクール第2位の快挙や、上原ひろみさんの東京オリンピック開会式での圧倒的な演奏など、ピアノが定期的に話題になります。最近ではフランス・パリで4年に1度開催され、国際的に権威のあるロン=ティボー国際音楽コンクール2022で、福井県出身の重森光太郎さんが第4位という快挙を成し遂げました。2000年生まれで幼いころから即興でピアノを弾いていたという重森さんは、ファイナルでチャイコフスキーの『ピアノ協奏曲』を伸びやかに演奏しました。まさに、これからの世界の音楽界を牽引していくのに相応しいピアニストといえるでしょう。

また、近年増えてきたストリートピアノの影響で、プロのピアニストとアマチュアの垣根が低くなり、ピアノ系ユーチューバーも爆発的に人気になりました。福井駅の「まちかど幸福ピアノ」はちょうど3年前から設置されていますが、温かい雰囲気に包まれた人気の音楽スポットになっています。

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このように幅広く話題になることで、昔は子供の習い事の定番という位置付けだったピアノですが、いまは大人の趣味として大流行しているようです。

コロナ禍の巣ごもり需要もピアノの人気を後押ししていましたが、コロナ禍が収まって人の動きが出てきたら、ストリートピアノやライブも活発化し、さらに人気が加速する気配があります。始める時期はまだ逃していません!この年末年始にピアノを始めてみませんか?

ストリートピアノで一曲、好きな曲を弾き歌い…あなたの夢は?

ピアノは巨大で高価な楽器と思われるかもしれませんが、実は楽器の中では突出して気軽に始められます。ピアノを開始するときにおススメなのは2万円~5万円の価格帯の電子ピアノです。電子楽器としては安めですが、タッチがしっかりしていて音が良いピアノがたくさんあります。ピアノを練習するなら、タッチが「ハンマーアクション」となっているものを探してみてください。まるでグランドピアノを弾いているかのように練習することができます。

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そして、ピアノを手に入れたら、次は目標を決めてみましょう。ストリートピアノで一曲弾いてみたい、弾き歌いで好きな曲を歌ってみたい、ジャズピアノでセッションしてみたい、など、人それぞれに夢があると思います。ピアノの弾き方はどんなジャンルの曲を弾くときでも共通の基本となるものはありますが、それぞれに固有の音色の作り方やリズムの作り方があります。目標をしっかり持っていれば、練習しているときや演奏を聴いたときに「この弾き方はこの曲に使えそう!」と、具体的に学んでいくことができますし、音楽の聴き方が広がってより楽しくなります。

目標が決まったら、いよいよピアノの練習を始めたいところですね。しかし、なかなか独学で楽器を始めるのは難しいものです。よく初心者の方がピアノを弾くときにしてしまいがちなのが、鍵盤を指で押し込むようにして、第一関節が反る方向に曲がってしまうことです。初めてピアノを触るときには鍵盤がとても重く感じてついつい押し込んでしまうものですが、実際には手の重みを利用すると力をほとんど使わずに弾くことができます。そんなちょっとしたコツを知るだけで、ピアノを楽に弾くことができるようになります。(作曲家、即興演奏家・榎政則)

 榎政則(えのき・まさのり) 作曲家、即興演奏家。麻布高校を卒業後、東京藝大作曲科を経てフランスに留学。パリ国立高等音楽院音楽書法科修士課程を卒業後、鍵盤即興科修士課程を首席で卒業。2016年よりパリの主要文化施設であるシネマテーク・フランセーズなどで無声映画の伴奏員を務める。現在は日本でフォニム・ミュージックのピアノ講座の講師を務めるほか、作曲家・即興演奏家として幅広く活動。

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D刊・JURACA会員限定で、無料のZoomを用いたピアノレッスンがあります。扱う楽曲は、久石譲さんの『SUMMER』。北野武監督の映画「菊次郎の夏」のテーマ曲で、車のCMにも使われた曲です。シンプルで美しい旋律がピアノによく似合い、世界的に有名な曲となりました。初めてピアノを弾く方のための、やさしく丁寧なレッスンになっています。2023年のスタートに向けて、一足早くピアノ生活をスタートしてください。

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