閉廷後、遺族代表は怒りをにじませた。那須雪崩事故の第2回公判。訓練当時、生徒が指示に従わず強引に進んだとする被告側の主張に対し、遺族は「『死人に口なし』。許しがたい」と非難した。
弁護側の冒頭陳述では、死亡した生徒や引率教諭の行動が事故につながったとする主張が相次いだ。亡くなった奥公輝(おくまさき)さん=当時(16)=の父勝(まさる)さん(51)は「苦し紛れの言い訳にしか聞こえない。亡くなった人のせいにする教諭たちが腹立たしい」。
大田原高の山岳部顧問だった毛塚優甫(けつかゆうすけ)さん=当時(29)=の父辰幸(たつゆき)さん(70)は、登山歴20数年の被告と経験がほぼない優甫さんを比較し「山の素人の息子に生徒を止める責任があるというのはおかしい」と指摘する。
雪崩発生の予見可能性を否定した被告側。勝さんは「(事故当時の状況で)雪崩を予見できない山岳関係者はいない。雪崩の危険性を啓蒙(けいもう)してきた先人の苦労を無にする」と批判した。