【愛知県薬剤師会】地元薬学生とのイベント開催/組織強化へ若手への取り組み拡充

【2022.12.21配信】都道府県薬剤師会が薬学生への働きかけを強化している。 東京都薬剤師会が今年7月2日に薬学生とのイベントを開催、その後、10月29日にも開催していたが、愛知県薬剤師会でも11月5日、地元薬科大学・薬学部の学生を対象としたイベントを開催した。

11月5日13時から、愛知県薬剤師会館で開いた。

今回は、実習を終了し、実社会での薬剤師がイメージできているだろうと思われる5年生・6年生に絞って募集をした。

企画したのは愛知県薬の「組織強化推進分科会」。テーマとして「~緊急提言! 薬剤師の未来について~どう考える? 私たちの未来」とした。岩月進会長をはじめ、県薬幹部も参加した。
イベント告知・募集で挙げていたテーマは、「薬剤師の未来像」「20年後の薬剤師」についてを骨子としつつ、「大学で学んでいることをどう生かしていきたいか」「薬剤師として社会にどう貢献していけるか」「今の取り巻く環境についてどう感じるか」「地域連携について」「地域フォーミュラリについて」「今後の薬剤師に必要なこと」など。

参加した薬学生数は5年生・6年生が計7名で、オブザーバーとして3年生・4年生も計2名参加した。所属大学は愛知学院大学、金城学院大学、名古屋市立大学、名城大学。

愛知県薬は開催目的について、薬剤師を取り巻く環境が大きく変革してきている中、これから社会に出てくる若い世代の薬学生が薬局・薬剤師にどのような未来像を描いているのか、何を必要としているのか、などの意見を聞き、今後の薬剤師会の組織強化の活動に反映していくためとしている。

イベントでは、「薬剤師は何をする人なのか」や「DX推進について」「オンラインとリアルの違い」「Amazon薬局について」「医薬品の供給について」などのテーマも飛び交い、多岐にわたった意見交換がなされた。

当初のテーマが「薬剤師の未来像」という設定だったこともあり、薬剤師の将来を考えている、意識の高い学生が集まったといえる。イベントを企画・運営した愛知県薬関係者は、「全体的な印象として、皆さん、しっかりと考えているな、と。本当に頼もしく感じました」と語る。参加者の中から、未来の愛知県薬を支える人材が輩出されるかもしれない。

特にイベントの中で岩月会長が薬剤師の仕事について語った、「医薬品が適正に使用できるよう、クオリティを高めて渡すことが目的であり、コミュニケーション力や、知識を高めていくことは、手段である」との言葉に、「感銘を受けた」と語る薬学生が複数いたという。

イベント後の感触として岩月会長は、「薬学生は問題意識を持ちつつも、同世代の中で議論している様子で、あまり先輩と話をしていないのではないかと感じました」と話す。
「最初のテーマである、“どんな薬剤師になりたいか?”との質問に、8名全員が、異口同音にコミュニケーションスキルの高い薬剤師と回答したのには驚きました」と指摘する。「コミュニケーションスキルは重要でありますが、薬剤師の本来業務は医薬品の提供であり、提供の質を上げる手段としての情報の蓄積や各種の経験やスキルが必要であり、目的と手段を間違えてほしくないと伝えました」と岩月会長。

規制改革会議関連では報道の仕方などによって望ましくない影響を与えている危惧も指摘する。
「対人業務と対物業務を別物のように取り扱う報道がありますが、前項の通り、対物業務の充実のための対人業務であり、誤った捉え方が薬科大学側に逆感染しているかのような印象を受けました。勿論このことは、学生さんの責任ではありません。その上で、薬剤師が置かれている現状になにがしかの異論や違和感を持ち、つまり問題意識があるならば、薬剤師会に入って現状の認識そして、課題解決を考える薬剤師になってほしいとも伝えました」(岩月会長)。

岩月会長は薬剤師には政治への関心、組織力が必要なことも伝えていきたいと力を込める。
「“選挙に行ったって、どうせ世の中変わらない!”とうそぶく方もいらっしゃいますが、選挙に行って投票しなければ絶対に世の中は変わりません。薬剤師の中でも勤務者が7割を超える現状で、改めて愛知県薬の今後について、“経団連”(経営者)と“連合”(勤務者)を併せ持った組織にしていかなければならないと、感じました。会長である私にとっても有意義な企画でした。これから、各種の仕事で世の中に出ていく若い人達にエールを送るとともに、“変える力”を持っていただきたいと思いました」(岩月会長)。

愛知県薬では、今後も継続してイベントを企画していきたい考え。

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