“2人用ベビーカー乗車”で… 都営バスが多胎児の親と意見交換

バレーボール元日本代表の大山加奈さんが、東京都内のバスで「双子用ベビーカーでの乗車を拒否された」と発信したことを受け、都営バスが大山さんら双子を育てる親との意見交換会を開きました。

都内で開かれたのは、バスで2人用のベビーカーを利用しやすくする方法を検討するための意見交換会です。この会の発端となったのは11月7日、バレーボール元日本代表の大山加奈さんが書いたブログでした。大山さんはブログの中で「双子ベビーカーのバス利用。後ろのドアから乗り込もうとしたらなんとドアを開けてもらえませんでした」とつづっていました。

大山さんが乗車できなかったと指摘する都営バスは12月20日、大山さんを含めた双子の育児をしている親子に実際の利便性を聞き取りしました。都交通局によりますとリモートで参加した大山さんは「親にとって、乗車のルールは自分で調べないと分かりづらかった」と指摘したということです。

意見交換会の後にはベビーカーの乗せ方が説明されました。都営バスでは、2人用のベビーカーを乗せる場合は前方の扉から乗務員に声をかけ、後方の扉から乗車する手順を踏みます。そして乗車後はシートを畳み、確保されたスペースにベビーカーを置いて、移動を防止するベルトで固定することが説明されました。この日の意見交換会に参加した双子を育てる母親は「バスの車内が混んでいる場合や大人が1人でベビーカーを持って乗る時、どのように対応したらいいか分からない時があった。今回、丁寧に説明してもらったのでよかった」と話しました。

<2人用でも乗車可能 都営バスは「ベビーカー利用ガイド」作成>

今回の事案は改めて、2人用ベビーカーで公共交通機関を利用する難しさが明らかになりました。これまでの経緯と東京都交通局の対策をまとめました。

発端となったのは、バレーボール元日本代表で双子の母親である大山加奈さんが11月7日に自身のブログに書いた『バスに乗れなくて泣いた日』というタイトルの投稿です。内容は「双子用ベビーカーで都営バスに乗ろうとした時、1台目は走り去り、2台目はバスの乗り降りの際に運転手の補助がなかった」という内容です。

都営バスでは2021年6月から既に全路線で2人用ベビーカーでも子どもを乗せたままバスに乗車できるようになっていることもあり、ブログ投稿の2日後、都営バスは大山さんに対し「対応が不十分だった」と謝罪していました。

そして12月20日、双子の親と都営バスが意見交換会を行いました。この日の意見交換会を受け、都営バスは「乗務員へのルール徹底」と「乗車方法の積極的な広報を行っていく方針」で、パンフレットなどを作成し、ベビーカーを利用する人に加え、利用しない乗客にも呼びかけていく方針です。双子の割合はおよそ1%ほどということですから、当事者の苦労や求める支援を積極的に知っていく必要がありそうです。

多胎育児でどういったことが大変なのか尋ねた民間の調査があります。この中で、最も多かったのが「外出や移動が困難」(89.1%)でした。「睡眠不足」や「自分の時間が取れない」よりも多い数値です。自由記述のコメントでは「2人が同時に泣くかもしれないと思うと、不安で公共交通機関を利用できない」「サポートを受けるための移動が困難なことに気付いてもらえない」「助けを求めてくるのを待たないでください。行けないんです」といった悲痛な声が多くありました。

子育て支援にはまだまだ足りていない部分も多いようです。設備だけでなく、社会全体で支えようという"心の面での支援の充実”も求められています。

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