TGR TEAM au TOM’Sがファン感謝祭を開催。坪井とアレジがシーズンを振り返ると同時に2023年へ意気込み

 12月18日、東京・銀座にあるGINZA456で『au TOM’Sファン感謝祭 2022』と題されたイベントが開催され、2022年のスーパーGTに36号車au TOM’S GR Supraを駆って参戦した坪井翔とジュリアーノ・アレジ、TGR TEAM au TOM’Sの伊藤大輔監督、auサーキットクイーンの近藤みやびさん、央川かこさんが参加し、コロナ禍以降、ひさしぶりにドライバーとファンの交流会が行われた。

 今回の会場であるGINZA456は、36号車のメインスポンサーを務めるau(KDDI)が銀座4丁目5番6号に展開するサービスショップだ。この施設の地下1階には、5Gや先端テクノロジーを活用した体験型デジタルコンテンツを駆使したイベントフロアがあり、こちらを使用してファン感謝祭が行われた。

 近年はコロナ禍で、こういったファンとドライバーが交流するイベントは開催できていなかったが、コロナ感染の状況も落ち着きはじめていることから、感染防止対策を講じてイベント開催を決定。密になることを防止するために、参加者は事前に申し込んだ人に限定し、2部構成にして、一度に集まる参加者を制限するなどの対策がとられた。

 またKDDIとしても、スーパーGTのファンイベントを都内で開催するのは初めての試みとなる。当日はGINZA456のエントランスに36号車のカラーリングが施されたトヨタGRスープラが展示され、大きな注目を集めていた。

 イベントには、伊藤監督とドライバーの坪井、アレジに加え、auサーキットクイーンの近藤さん、央川さんも参加。特に2022年シーズン限りでレースクイーンの活動休止を宣言している近藤さんにとっては、これが今年最後のコスチューム姿となった。

 イベントの最初はシーズンを振り返るトークショーが行われ、場内のデジタルコンテンツを駆使して、36号車が表彰台を獲得した第2戦富士を振り返った。特に決勝ではオンボード映像も数多く紹介され、監督やドライバーらからは当時の裏話なども紹介された。

au TOM’Sファン感謝祭 2022でのトークショーの様子
トークショーではオンボード映像を使用した解説も

 その後は、来場者から寄せられた質問コーナーなどが設けられ、おもにシミュレーターなどの質問が多く、坪井やジュリアーノらが自身の体験談をもとにひとつずつ丁寧に答えていた。

 イベントの最後には、ファンとドライバー、レースクイーンとの交流会も行われ、サインをもらったり、写真撮影をしたりと、コロナ前によく見られていた光景が展開されていた。

 伊藤監督はファンとの交流に「やはり、こういったイベントはいいですよね。ここ(GINZA456)は特別な場所なので(お客さんの人数など)限界はあると思いますけど、ぜひ、こういった機会を増やしていただければなと思います」とコメント。

 イベント中にはサーキットに設営される“auファンシート”の紹介も行われ、「できればauファンシートも拡大していただき、もっと盛大にしていただけるとうれしいです」と伊藤監督。「みなさんと一緒に闘っているという感じが出て、我々も良い緊張感を持ってレースに挑めるので、今後も拡大してほしいなと思います」と、2023年シーズン以降はauカラーであるオレンジ色がサーキットで少しでも多く見られることを期待していた。

 坪井も久しぶりのイベントに「ここ最近は(コロナ禍で)ファンのみなさんとまったく接することができなかったので、こうして近くで交流を持てたことは良かったと思います。コロナが収束していけば、もっと大きな会場で、もっと大人数でイベントができると思うので、そういった日が戻ってくることを心待ちにしたいという気持ちです。やはり、ファンのみなさんがあってのレースだと思うので、こういった機会が作れていることはうれしいです」と笑顔をみせていた。

ファンにサインを行う伊藤大輔監督、坪井翔、ジュリアーノ・アレジ

■イベント内でも坪井の結婚が話題に。伊藤監督も“印象に残ったエピソード”に挙げる

 また、イベント内でも坪井と斎藤愛未による“レーシングドライバー同士”の結婚が話題となり、伊藤監督も“今シーズンの印象に残ったエピソード”として、最終戦の公式練習時に無線で結婚の報告をしたときのことを挙げていた。

 結婚発表から2週間ほどが経つ坪井だが「レースやイベントばかりで、ろくに家に帰れていません。(引越しをして)やっとダンボールが全部開いて、やっと少し落ち着いたかなくらいの感じです」とのこと。シーズンは終わったものの、お互いに多忙な日々が続いているようで「正直、まだバタバタしていて……あまり新婚感がないですけど(苦笑)お互いにレースも終わったので、年末年始はふたりでゆっくりしたいです」と語った。

 そして2021年から日本でレース活動を始めているアレジにとって、こういったファンイベントに参加することは初めての経験となる。「今まではファンのみんなのために何もすることができなかったから、少し可哀想だと思っていた。今後はこういったイベントが少しずつできればいいなと思っている」と、特にファンひとりひとりとの交流を丁寧にしている姿が印象的だった。

 TOYOTA GAZOO Racing陣営は2023年シーズンの体制がすでに発表されており、アレジは37号車TGR TEAM Deloitte TOM’Sに移ることが決まっている。GT500ルーキーイヤーでは特にタイヤの使い方を学んだとのことで、「最初は特にウォームアップのやり方が大変だった。予選でのタイヤの使い方も少し足りない部分があったと思う」とアレジ。伊藤監督や坪井のアドバイスを参考にしながらその部分を改善し、「(シーズンの)最後は良くなった気がするけど、まだダメなところもあるから、もっと良くして来年に臨みたい。また来年も同じチームで乗りたかったという思いは強くあったけど、来年は37号車になってエンジニアやチームメイトも変わることになる。けれど、変わらずにチャンピオンを目指して頑張りたいと思う」と、意気込みを披露した。

 そのアレジを引っ張る役として2022年シーズンに奮闘してきた坪井も、「ジュリアーノと一緒に重ねてきた1年間の経験を、2年目以降に一緒に披露できないということには寂しい気持ちもあります」と本音を語った。

 新パートナーとなる宮田莉朋と組むことが決まっている2023年シーズンに向けては、「宮田選手とはF3で2年間チームメイトでやってきていますし、お互いのキャラクターが分かったうえでレースをすることができます。今年は結果が出なかったので、来年はしっかりと結果が出るように……第1ドライバーがダメだと思われないように、しっかりと頑張りたいと思います」と気持ちを新たにしていた。

au TOM’Sファン感謝祭 2022に参加した坪井翔
au TOM’Sファン感謝祭 2022に参加したジュリアーノ・アレジ
GINZA456のエントランスに展示されたau TOM’SカラーのトヨタGRスープラとTGR TEAM au TOM’Sのジュリアーノ・アレジ、伊藤大輔監督、坪井翔、近藤みやびさん、央川かこさん

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