自然との共創学ぶ場に 耕作放棄地の活用案続々

熊野リボーンプロジェクト3期生の発表を視聴する真砂充敏市長(手前)=和歌山県田辺市役所で

 和歌山県田辺市の関係人口養成講座「熊野リボーンプロジェクト」の第3期生から、梅の耕作放棄地活用案が続々と生まれている。自然と共創する熊野の文化、暮らしを体験する拠点づくりの提案もあり、市も関心を示している。

 プロジェクトは、熊野の景観の保全・継承が目的。地域の暮らしと関わりながら歩く低山トラベラーを対象に2020年に創設した。低山トラベラーを提唱する大内征さん、登山アプリを運営するヤマップ(本社・福岡市)が協力している。

 第3期は10月から12月まで全5回で、9人が梅の耕作放棄地活用をテーマに座学や現地研修に取り組んだ。18日に修了式がオンラインであり、教育での活用や山と親しむ商品の開発などそれぞれが案を発表した。

 「熊野の杜ミュージアム」もその一つ。熊野の山の植生とみなべ・田辺の梅システムのミニチュア版をつくり、見て、触れて、学べる空間にする構想。木の特徴を生かした道具を実際に使うなどして、山と暮らしがどう関わっていたかを体験できる拠点にする。

 第3期生は11月下旬、電気や水道もない耕作放棄地にテント泊した。その経験を生かし、「ミュージアム」を木を使った道具と燃料、食料と水のみを持ち込める上級者向けキャンプ場として活用する提案もあった。

 大内さんは「新しいものをつくるのではなく、今あるものをどう生かして、新しい未来、笑顔をつくるかが大事。今回の体験にはいろいろなヒントがあった」と総括した。

 真砂充敏市長は「時代が大きく変化する一方で、変わらないもの、変えてはいけないものを大事にしないといけない。体験の拠点は重要。提案の中でできるものは、来年度からでも取り組みたい」と話した。

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