PFAS除去「不経済」 米軍、基地内対策に否定的 18年の連絡会議議事録で判明

 【中部】人体への有害性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)の汚染源として米軍基地が指摘されている問題で、米軍が発生源とみられる基地内での汚染除去について「経済的でないと考えている」と否定的姿勢を示し、沖縄県による浄水場での対応を求めていたことが分かった。2018年7月、嘉手納基地内で開催された米空軍嘉手納基地と県、沖縄防衛局による3者連絡会議で、米側が発言した。琉球新報の情報公開請求に沖縄防衛局が開示した議事録に記載されていた。
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 米環境保護庁(EPA)は昨年10月、PFAS汚染に関する戦略ロードマップを公表し、対策の3本柱の一つに「汚染源の浄化」を挙げた。また米軍を含む「汚染者」に浄化の「責任を負わせる」としており、米本国では米軍の責任下で汚染除去が求められている。協議はこれより前に開かれたが、米軍は現在も沖縄では米政府の指針に反する対応を続け、基地内の調査や汚染除去に協力していない。
 議事録で県企業局は発がん性などのリスクが指摘されているPFASの一種、PFOSの除去に「高額な活性炭で処理している。基地内で調査し、発生源対策が可能か検討すべき」と求めた。これに対して米軍側は「発生源対策が必ずしも活性炭による対策より経済的になるとは考えていない」とし、発生源の浄化ではなく、県企業局が基地外の北谷浄水場で実施している粒状活性炭によるPFOS除去の継続を求めた。
 また県が粒状活性炭によるPFOS除去の費用が高額だと訴えたのに対し、米軍は「費用は防衛局に要求しているとも聞いている」として、県民も含めた国民の税金で賄われていることを矮小(わいしょう)化した。
 県は7市町村・45万人に給水する北谷浄水場の水源のPFAS汚染について、泡消火剤を長期間使ってきた嘉手納基地が汚染源である可能性が高いとして、基地内の立ち入り調査を求めている。だが米軍は調査を拒否しており、汚染源だと断定できていない。
 県によると連絡会議は16年から18年の間に4回開かれたが、日米合同委員会で議論されるべきものとする米軍からの申し出があり、終結した。
(名嘉一心)
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