小中学生の8.8%に発達障害の可能性…対応策は教師の待遇改善や留年&飛び級制度の導入か

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。12月14日(月)放送の「FLAG NEWS」のコーナーでは、小中学生の8.8%に“発達障害の可能性”があるというニュースに着目しました。

◆35人学級のうち約3人が発達障害か

全国の公立小中学校の通常学級にADHD(注意欠陥多動性障害)など発達障害の可能性がある児童・生徒が8.8%いることが、文部科学省の調査でわかりました。10年前に行われた同様の調査に比べ増加傾向にあり、文科省は「保護者や教職員の発達障害への理解が進んだことが増加要因のひとつ」と話しています。

また、通常学級に通う発達障害の可能性のある小中学生のうち、特別な教育的支援が必要と判断されている割合は28.7%。文科省は適切な支援の拡充に向けて議論を進めたいとしています。

◆この現状に、どう対応&対策していくべき?

このニュースに関心を寄せていたのは、株式会社ABABA代表の久保駿貴さん。「発達障害といってもさまざまで、例えば漢字や計算が苦手というだけの子どももいれば、逆に才能があるという子どももいる。多様な子どもたちとさまざまな家庭環境があるなかで、個々に対する支援が必要」と話します。

加えて、8.8%という割合は、1クラスを35人とするとクラスに約3人いる計算で、「1人の担任では手が回らないのではないか」と危惧。発達障害も軽度なものであれば早期発見で改善できるとも言われているとし、「教員だけでなく、我々のような今後親になる世代も理解してサポートしていくべき」と主張します。

一部の施設では、臨床心理士などが発達障害の子どもたちの特性に合わせた教育プログラムを提供するための動きも出てきているようで、キャスターの堀潤はそうした取り組みがより進むことを望みます。

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、子どもを取り巻く環境を懸念。「"こうでなければいけない”というのが強ければ強いほど、そのなかでやりづらくなる子どもたちは多くなると思うので、学校に全てを押し付けないことも大事」と訴え、「そういう意味でも、まずは学校の先生の待遇改善、余裕を作ることからしか対策はできないのかなと思う」と自身の意見を述べます。

番組のTwitterスペースに参加していた視聴者からは「昔、子どもが学童に通っていて、子どもたちの様子を見たが、学童の先生はその辺りをよく理解して対応していたのが印象に残っている。そうしたところに個々の対応に関するヒントがあると思う」。

株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんは、根本的な課題として久保さん、能條さんと同様に「先生の多忙さ」を挙げ、「授業でもう少しテクノロジーを使うべき」と対策を提案。

「毎回ほぼ同じことをやっているので、授業は全て先生がやる必要はない。動画でいい。そうしたところに先生の労力を割かず、適切にリソースを分配したほうがいい」と合理的な見解を述べます。

また、別の視聴者からは「そもそも発達ということの進度そのものが個性であり、その個性を伸ばすことが必要。そのためには"留年”と"飛び級”が必須。今の社会では"留年=良くない”、"飛び級=頭がいい人”となっているが、それをもっと多様な捉え方に変え、進度が守られれば進む形に社会が変容すれば発達障害も減っていくのでは」という声もありました。

この意見に能條さんは関心を示し「私が留学していたデンマークでも留年はあり、それは悪いことというより"もう1年必要だからやりましょう”というだけ。意外と前向きに子どもも捉えていると聞いて、日本とは全然違うと思った」と海外との違いに言及。

そして、「親としても(子どもが)絶対についていかないといけないというストレスがあると思うので、(留年が許容される社会に変われば)もう少しやりやすくなるのかなと思う」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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