「サムスンがNAND価格を値上げ 中国YMTC脱落による供給不足受け」台湾紙報じる

サムスン電子が3次元(3D)NANDフラッシュ価格を最大10%引き上げたことが分かった。中国のNANDメーカーであるYMTCが最近、米国の制裁を受けた直後だ。

(参考記事:米専門紙「台湾TSMCの3ナノ工程、競争力なし」 韓国サムスンに逆転機会か

台湾のIT専門誌デジタイムズは20日(現地時間)、サムスン電子が今月初・中旬になってから、3DNANDの契約で価格を最大10%上方調整したと報じた。デジタイムズYMTCが米国の制裁対象となったことを受け、価格を上げたものと見られると伝えた。(デジタイムズ記事URL:https://www.digitimes.com/news/a20221219PD220/apple-chip-war-nand-flash-ymtc.html)

米国は去る10月、先端半導体の軍事的活用を阻止するという理由で、中国企業に対する輸出統制方針を発表した。最終的に36カ所を輸出管理リスト(エンティティリスト)に追加したが、そこには中国のファーウェイなどに半導体を供給したという疑惑を受けたYMTCも含まれた。

これにより、YMTCは米商務省の許可なしに米国企業から半導体機器や半導体開発に必要なソフトウェアなどを購入することができなくなった。 米国企業の装備を活用した外国企業の製品も受けられない。

YMTCは中国政府の支援を受けて急成長したい半導体企業だ。 2016年の設立後4年後となる2020年には128段NAND量産に成功した。そして今年には232段NAND生産を宣言した。 技術格差を狭めて世界市場シェアを2020年0.8%から今年第2四半期3.4%まで増やしてきたところに米国の制裁を受けた。

制裁によりYMTCの3D NANDの生産能力が悪化すると予想されている。一方で、NAND市場でトップを走る韓国サムスン電子は「漁夫の利」を得るとみられる。YMTCの脱落で供給不足となり、その分、サムスンへの受注が増える見通しだ。サムスンがNAND価格を引き上げたのもこのような背景があると見られる。

朝鮮日報系の有力経済紙「チョソンビズ」もYMTCの件を取り上げ、「このような状況は、中国企業と潜在的な競争関係である国内(韓国)企業にとって長期的に好材料と見なければならない」という専門家意見を伝えた。(当該記事URL:https://biz.chosun.com/it-science/ict/2022/12/20/3LXYC3Z65JFNZOOZMTRPAE4JRQ/)

トレンドフォースに調査によると、NAND市場でサムスン電子は今年第二四半期(4~6月)基準で33%のシェアを占め、世界首位となっている。2位は同じく韓国企業であるSKハイニックス(19.9%)が占めた。(SKハイニックスはソリダイム生産分含む)

(参考記事:米フィデリティ、韓国の高純度フッ化水素(12N)メーカーへの投資拡大
(参考記事:韓国SKがNANDメモリ市場で世界2位に、日本のキオクシアを抜く 韓国勢で世界過半占める
(参考記事:韓国紙「日本ほど韓国建設に寄与した国は無い」「半導体、造船、鉄鋼…すべて日本の協力で得た」

(参考記事:韓国特許庁、半導体技術の審査を大幅短縮…12.7カ月→2.5か月に 「競争勝つため」
(参考記事:「韓国の特許王」ソウル半導体、今度はドイツ企業に勝訴…100戦無敗に
(参考記事:韓国紙「進撃する日本のロボット産業、世界の45%を掌握」「韓国でも絶対的存在に…日本産は代替不可能」

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