朝来駅前に新たな交流拠点 上富田の町民団体

1階部分に新たな交流拠点を整備している、JR朝来駅前の宿泊施設「あざみ庵ASSOBO」(和歌山県上富田町朝来で)

 和歌山県上富田町の有志でつくる団体「iiiinosa―Kumano(いいのさ くまの)」(樫木美喜恵代表)は、同町のJR朝来駅前に新たな交流拠点を整備している。人が気軽に集まりつながる、さまざまな活動の「起点」となる場所を目指している。来年1月にもプレオープンを予定している。

 団体は、上富田町の口熊野かみとんだ山桃会や南紀ウエルネスツーリズム協議会、商工会などの有志メンバーで設立。総務省の補助事業を受け、町の木であるヤマモモの活用を軸に、地域の活性化やにぎわいづくり、新商品の開発などに取り組んでいる。

 交流拠点を設ける場所は、今夏に朝来駅前にオープンした宿泊施設「あざみ庵ASSOBO(アッソボ)」の1階部分。飲食店だった建物を改装した施設で、改装後使用していなかった1階厨房(ちゅうぼう)スペース(約60平方メートル)を活用する。

 計画では、カフェスペースを設けて宿泊客や観光客、地元住民向けに朝食を提供する。域内流通を意識して、地域の農産品や特産品を活用したメニューを考えている。

 昼間はランチ営業に合わせて、飲食事業に挑戦したい人ら向けに期間限定で料理を出せる場を提供する「チャレンジキッチン」も始める。週末の夜はバーを営業する。さまざまな世代の人に関心を持ってもらえるよう、ワークショップなどのイベントスペースとしても活用していく。

■来年1月にも プレオープン

 来年1~3月にプレオープンをして、運営方法や値段設定、どのようなニーズがあるかなどを検証。その後4月にグランドオープンする予定となっている。

 17日には、改修が進む交流拠点でワークショップを開催し、室内に取り付けるヒョウタンランプを作った。地元の高校生や地域おこし協力隊、地域住民らが参加。上富田町岡の老人クラブが栽培したヒョウタンを使い、彫刻刀やはんだごてで模様をつけてランプに仕上げた。壁の一部にスギの木片タイルを貼り付ける作業もした。

 商品開発に興味があり、縁あって今夏から「いいのさ くまの」の活動に参加している田辺高校2年の古久保伊織君(17)は「新商品づくりの場にも参加させていただき、いろいろなことを勉強できて視野が広がった。自分も上富田町民なので、地元を盛り上げたいという気持ちがある」と話した。

 樫木代表は「気軽に人が集まり、地域の外と中の人が交流して関係が生まれていく、上富田町の『入り口』のような場所になっていけたら」と話した。

交流拠点に取り付けるヒョウタンランプを作る、ワークショップの参加者(和歌山県上富田町朝来で)

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