「どうやって店を回していこうか…」ラーメン1杯の“粗利益”ほぼ半減…物価高騰の影響あらゆる業種に【2022年、現場は今】

新型コロナの感染拡大や円安による物価の高騰は、静岡県内のさまざまな業種に影響が広がり、私たちの財布の紐もかたくなっています。

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数種類の塩をブレンドした「塩そば」が自慢の静岡市駿河区のラーメン店です。オープンから9年。2022年は、悩むことが多かったといいます。

<「麺処 汐のや」店主 寺田浩光さん>

「うーん…記憶にないぐらい、すごい考えていた。何を考えていいかも分からないくらい、ずっと考えていた。どうやって店を回していこうか」

麺処 汐のやの看板商品 塩そば700円

悩みの種は、コロナ禍で沈む飲食業に追い打ちをかけた物価の高騰。ラーメンに欠かせない麺の価格は、1年前と比べると約20%値上がりしています。さらに値段が上がったものも…。

<「麺処 汐のや」店主 寺田浩光さん>

「食用油とラードが両方、2倍以上値上がりしている。3,000円前後ぐらいだったのが、6,000円以上、高くて7,000円弱ぐらいに値上がりしている」

この店の「塩そば」は1杯700円(税込)。1杯に掛かる経費はオープン当初、麺が50円、スープとトッピングが200円、光熱費が40円、となっていて、粗利益は410円でした。ただ、現在はすべての食材と光熱費が値上がりし、粗利益は236円。170円あまり減りました。来店客の、ある行動でも物価高騰を感じるといいます。

<「麺処 汐のや」店主 寺田浩光さん>

「当店は券売機を使っているが、一万円札が使えなくて、千円札と二千円札しか使えないが、両替をしてくれというお客さんが減って、1,000円以内で済まそうかなと思っているお客さんが多いと感じる」

物価の高騰は客の財布の紐もかたくしています。物価高騰の大きな要因は「円安」です。海外との金利差でドルに資金が流れ、円が売られたためで、輸入に頼っているものが軒並み値上がりました。

2022年、価格が高騰した代表的なものに、中古車があります。新型コロナや中国のロックダウンなどで、半導体不足が加速したことが原因でした。

<「Bull静岡店」望月徹哉店長>

「お客は車がいち早く欲しい。そのために良質な中古車は価格が上がり、(新車の)価格を越えた」

半導体不足で新車が買えず、中古車の需要が増加。さらに、新車の登録台数が減ったことで、中古に流れてくる車の数も減りました。需要と供給のバランスが崩れて起きた「中古車バブル」。ただ、新車の納期は徐々に短縮され、9月がピークだった中古車の価格高騰も収まりつつあります。

<「Bull静岡店」望月徹哉店長>

「これから、もっと新車の納期が早まると中古車の台数が増える」

飲食や自動車だけでなく、あらゆる産業に影響を与えた物価の高騰。2023年は、十干十二支で「癸卯(みずのとう)」にあたり、正しく筋を通せば繁栄に向かい、やり方を間違えると事柄が紛糾するといわれています。

<静岡経済研究所 恒友仁常務理事>

「2023年については今年の悪材料が徐々に消えていき、その後、各企業、各家庭がどのように動いていくのか。期待できる方向に動いて欲しい」

専門家は資源高や円安が落ち着くことに期待を寄せています。

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