戦時だけじゃない…標高190mの山頂で常に生活していた? おおい町の石山城 福井県の城紹介「わが町のわが城」

佐分利川流域を望める山の頂上にある石山城跡=福井県おおい町
竹紙を使った「御城印」=福井県おおい町石山
石山城跡(福井県おおい町)の地図

 福井県おおい町佐分利地区にある石山城は、佐分利川流域を望める山(標高約190メートル)の山頂に築かれた室町時代から戦国時代の山城。発掘調査により、一般的な山城とは違い、戦時にこもるだけでなく、常に生活していた可能性が高いことも分かってきた。

 石山城は、佐分利一帯を支配した若狭守護武田氏の家臣だった武藤氏の居城。武藤氏と敵対していた織田信長の命で明智光秀、丹羽長秀が石山城攻略のため派遣され、城は破却されたとされる。発掘調査では礎石のほかに、染付椀(わん)や青磁椀などの土器片が出土。戦時のための機能を持ちつつ、居住空間としての建物が存在したことを示している。

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 一方、「佐分利の歴史・文化を学ぶ会」の辻徹会長は「石山城があったことを知っている程度だった」と地元住民の間でもなじみがなかったと振り返る。そこで、学ぶ会が城跡の活用に向けて活動をスタート。山頂に続く道を整備し、地元の佐分利小児童に歴史学習を行ったり、一緒に城跡を見学したりしている。

 また、学ぶ会はおおい町出身の直木賞作家、故水上勉さんが愛した竹紙を使った「御城印」を作製。辻会長によると、県外から買い求めに来るほどの人気とか。武藤氏を題材にした漫画も作製中だ。辻会長は「地元の歴史、魅力を伝えていきたい」と力を込めた。

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石山城

尾根上に曲輪や堀切などが築かれた。二つの街道が交差する交通の要衝に設けられた重要拠点だった。

佐分利の歴史・文化を学ぶ会

2016年度に発足。佐分利地区住民ら約30人でつくり、歴史勉強会を開いたり、小冊子を発刊したりしている。

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