【SNS特報班】県外学生投票 自治体で差

 地元に住民票を置いたまま県外に出ている若者が、帰郷せずに投票できる制度を実現してほしいです。都城市・建設業女性(52)
オンライン化 議論進まず
 選挙の投票は、選挙期日に投票所で行うことが原則とされる。期日前投票の利用も広がっているが、都城市の建設業女性(52)は「子どもが県外に進学し、今回は授業などがあり帰ってこられず投票できない。マイナンバー制度など活用し、もっと若い人の1票を大事にしてほしい」と願う。
 選挙期間中、仕事や旅行などで居住地外に滞在する人のための措置として、滞在先で投票できる不在者投票制度がある。ただ、実家に住民票はあっても県外で暮らす学生については、県選挙管理委員会は「法律上、転居すれば住所変更の届け出を行うのが大前提」と指摘。公職選挙法では3カ月以上居住実態のない住民の投票は認めておらず、対象にならないとの認識を示す。
 しかし、県内自治体の選管関係者によると、こうした学生の不在者投票を認めるかは、最終的には各市町村選管の判断に委ねられており、「自治体によって対応に差がある」という。
 一方、投票のオンライン化は、海外在住者の「在外投票」で検討されているが、国内での議論は進んでいない。ただ、不在者投票を希望する際、住民票のある市町村への最初の手続きは、今年から宮崎市など県内8市町でマイナンバーカードを使ってオンラインでできるようになった。
 宮崎大大学院の吉村功太郎教授(社会科教育)は「地元に住民票を残して進学する学生は多いが、投票に関する国の線引きも、公平性の観点から理解できる。住民票の扱いで投票の機会が失われる可能性については、よく考えて判断してほしい」と話している。

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