高級車盗の新手口 岡山県内初確認 CANインベーダー 複数の対策を

 岡山県警は7日、「CAN(キャン)インベーダー」という新たな手口とみられる高級車の窃盗事件が県内で4件発生したと発表した。車種はいずれもトヨタ自動車のスポーツタイプ多目的車(SUV)「レクサスLX」。特殊機器で車の制御システムを操り、キーがなくても運転やドアロック解除ができる。被害の確認は県内初で、全国では違う車種も狙われていることから、注意を呼びかけている。

 県警によると、11月下旬から今月6日にかけ、県南部で3台、県北部で1台が被害に遭った。4台の被害総額は3480万円。防犯カメラの映像などから、いずれもCANインベーダーが使われた可能性が高いとみられる。

 CANインベーダーは、バンパーを外して内部の配線に特殊機器のケーブルを接続。車の動作を制御する車載ネットワーク「CAN」へ強制的にアクセスする。手慣れていれば数分でドアを解錠し、エンジンをかけられるという。CANを乗っ取るインベーダー(侵入者)との意味から呼び名が付いた。

 高級車をターゲットにしたこの手口は、レクサスに限らず昨年ごろから全国で主流になっている。昨年8月に兵庫県警などが約200台を盗んだとされるグループを全国で初めて逮捕して以降、摘発も各地で相次いでいる。

 特殊機器は市販されていないが、海外の闇ルートで仕入れるなどし窃盗グループの間で流通している恐れがある。県警生活安全企画課は「純正の防犯装置は制御システムとつながっており無力化される。ハンドルロックをはじめ、防犯カメラやセンサーライト、振動を検知する警報器など可能な限り複数の対策を組み合わせて被害防止に努めてほしい」としている。

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