3年ぶりにインフルエンザ流行の兆し、6都県で増加傾向確認

 厚生労働省は23日、全国の指定医療機関で定点観測している季節性インフルエンザの患者数の統計の最新版を公表した。東京都で今秋以降初めて増加傾向を示す「1」以上になったほか、岩手や熊本など計6都県で増加傾向であることが分かった。各自治体は新型コロナとの同時流行に備え、医療提供体制の強化を打ち出している。

東京都下では年末年始の医療提供体制を強化

 同省はインフルエンザの感染状況把握の方式として、患者の全数把握ではなく全国の指定医療機関での患者数を抽出したうえで、いち医療機関あたりの数を算出する「定点当たり報告数」の方式を採用し、毎週公表している。23日公表されたのは先週18日までに報告された患者数の統計で、流行開始の目安とされる定点あたり「 1 」以上の自治体が6都県に増えたことが分かった。

 具体的な数値としては、青森が1.25、岩手が2.84、東京が1.12、神奈川が1.05、富山が1.33、熊本が1.14で、今シーズン初めて東京都が「 1 」を上回っっている。本格的な流行期に入るとこの数値は3桁になっていくのでまだ端緒に過ぎない数値だが、本日発表された数値は先週の統計値であり、現時点ではさらに感染が広がっているとみるべきだ。

 この数値発表を受け、東京都の小池都知事は「(新型コロナとインフルエンザの)ツインデミックの入口だ」と警戒感を表明。世田谷区は19日に来年3月末まで、区内の15歳以下の子どもの診療を行う臨時診療所を開設、1日当たり最大80人の患者に対応する。目黒区も30日から1月3日まで、重症化リスクの高い人を優先する予約制の発熱外来を開設する。

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