「その音楽は昔と一緒だよ」と言わない─若い世代との関わり方を、藤原ヒロシ×高木 完×デッツ松田が語り合う

藤原ヒロシと編集者のデッツ松田、そして高木 完がJ-WAVEで、最近気になるアーティストなど音楽談義を繰り広げた。

3人がトークを展開したのは、J-WAVEの番組『TOKYO M.A.A.D SPIN』(火曜ナビゲーター:高木 完)。同番組では、東京のダンスミュージック・シーンにまつわるカルチャー、アート、ファッション、ニッチなニュースなどをお届けしている。 ここでは12月20日(火)のオンエア内容の一部をテキストで紹介する。

ググっても出てこないような話が書いてある本

ラジオで共演するのは1980年代後半以来という3人。ヒップホップの黎明期に活躍したTINY PANX(藤原ヒロシ&高木 完)と1980年代を過ごしたデッツ松田を加えた3人は、今年クラウドファンディングを経て、1977-1990年の東京のクラブシーンや音楽シーンなどを振り返る1冊『TINY PANX +1 TOKYO CHRONICLE 1977-1990』を出版した。

高木:(クラウドファンディングのリターン品として)みんなに送ってから半年近く経つけど反響はあったりした?

藤原:「買いました」ってのはあるけど、読んでみて感想は1人も聞いたことがない(笑)。

デッツ松田:うちは先輩の伝説の話を聞いてる感じで読めましたって言われたり、面白かったんで10冊買ってまわりに配ってくれたりって声はあって。でもこの本の存在を知らなくて後から買えなかったって人はすごくいて。

高木:なるほどね。この本がちょうど出たくらいに宮崎敬太くんっていうライターが、「今までメディアで伝わってなかったような話が聞けるから、すごく面白くて興味深いです」って言ってくれてて。

デッツ松田:この間、FPMの田中(知之)くんに会ったときに同じような感じでこの本を読んでくれたらしいんだけど、ググっても出てこないような話が書いてあるから、あの内容だけだと足りませんみたいな感じで言われて。宮崎くんと同じで探しても出てこないようなものが入ってたのですごく面白かったって言ってくれました。

「こんなのは昔のあれと一緒だよ」は言わない

話題は最近気になるアーティストについて。デッツ松田はノルウェー出身のgirl in redの名前を挙げた。

デッツ松田:たしかビリー・アイリッシュのお兄ちゃんがプロデュースしてる1人ユニットで、ビリー・アイリッシュっぽい感じで。

高木:(藤原)ヒロシは? 日本ものも聴いてる?

藤原:わりと聴いてるよ。離婚伝説とか、良いですよって言われて聴いてるのがラッパーのZORNとかを聴いてる。

高木:昔みたいにジャンルで聴くとかはないの?

藤原:どうなんだろう。今は名前も覚えられないインディーズみたいなので、いいのがいくらでもあるから。

高木:俺は最近アフリカのダンスミュージックみたいなのを聴いて、昔こういうのがあったらいいなと思ったジャンルが今はちゃんとあるんだなって。そのへんを少し聴いてるけど。新しいバンドで衝撃っていうのではないけどビリー・アイリッシュとかそういうの含めて、きっといろんなものをお父さんとかのレコード棚から引っ張り出して聴いてきて自分たちなりに消化してるんだろうなっていうのはいっぱい出てきてるよね。昔ありがちな意見だと「こんなのは昔のあれと一緒だよ」みたいなさ。

デッツ松田:ありがちだよね(笑)。

高木:でもそれはこっちの老朽化の始まりというかさ(笑)。

藤原:それは僕はずっと否定していた。僕らが若い頃、「昔と一緒だよ」って言う人ってすごくいっぱいいて、そこをずっと否定していたから今も否定したい。

藤原は「今の聴き方もあるし、今の人が好きなのは僕らが好きなのとは次元が違う」と言葉を続ける。

藤原:僕らが例えばパンク面白いしすごく好きだったっていう原体験で知ってたものと、若い人たちが「セックス・ピストルズがめちゃカッコいい」ですねっていうのでは全然ベクトルが違うというか、同じ好きでは語れなくて。両方いいっていうのもヘンだけど、若い人たちの好きっていうのは尊重したいというか。

高木:そこはめちゃ重要だよね。

藤原:何度かいろんなところでも言ったかもしれないけど、レア・グルーヴがはやったときに僕らDJをやっていて、僕らがかけるレア・グルーヴと僕らより10歳上の人たちが「これは昔聴いてたんだよ」って言ってもう一回出てきてDJをしてかけてるのとは全然違うというか。それが僕はすごくダサいと思うから。

高木:後者のほうがね。

藤原:そうそう。そういう感覚にならないようにね。

高木:「これはこれと一緒じゃん」みたいなことは言っちゃダメだよね。

デッツ松田:「それ昔あったよ」は言っちゃいけない。

高木:そういう風に思っちゃたら自分がダメになったってことと一緒だよね。これ引退の時期が来ましたって(笑)。

マイブームは1日1リミックス

高木は「若い子と一緒に曲を作ったりしてる?」と藤原に問うと、定期的にOKAMOTO'Sのオカモトコウキの自宅に行って一緒に曲を作っていると話す。

高木:それは自分用に?

藤原:一緒に曲を出せればいいし、出せなくてもお互いが出してもいいしっていう。そこだけ共作してる。

高木:好きに使っていいよって。

藤原:そうそう。

高木:どっちからともなくやろっかって感じ?

藤原:OKAMOTO'Sがライブでいろいろやってたけど、コウキくんはギタリストだし一緒にやることはなかったんだけどコウキくんの作る曲とか好きだったから一緒に作ってみようってことになって、深夜にコウキくんの家に行って曲を作ったりしてる。

高木:深夜なんだね。相変わらず時間帯は遅いね。

藤原:遅いですね。

高木:デッツも遅い?

デッツ松田:だいたい3時から4時くらいの間に寝る感じかな。

藤原:僕は5時から6時の間に寝るかだね。

高木:えっ、そんな?

藤原:相変わらず(笑)。

高木:誰かと会ってることもあると思うけど、まあまあ1人でいることが多いでしょ。

藤原:ずっと1人。

高木:何してるの?

藤原:最近のマイブームは1日1リミックスしてるので(笑)。それで30曲くらいはたまってる。

藤原は深夜に3時間くらいかけてリミックスを楽しんでるという。

デッツ松田:それ仕事じゃないからゲーム感覚で楽しいんだよね。

藤原:そうだよね。YouTubeでバンされるものもいっぱいあるから、プライベートのものしかアップできなかったりとかして。

高木:もちろんかけられないよね。

藤原:かけられるんですよ。今度ラジオで特番しようと思って。1日1曲つくってるけど、たまにこれはどうしてもキーが気になるなってボツにするものもあるけど。昨日、1つ失敗したのがあったね。井上陽水のキーがもう少しなんとかならないかなっていう感じで今迷ってる(笑)。でもマッシュアップってキーが合わないのも面白さだから。

先日、藤原は松任谷由実の曲を元にしたリミックスを松任谷本人と松任谷正隆に聴いてもらったと明かす。

藤原:2人ともめちゃ面白いって気に入ってくれたんだけど、リスニングには無理だよねって言われた。

高木:どういうこと?

藤原:映像を見てコンセプトもわかって面白いけど、聴くには彼らにとってはキーがズレたりするから嫌なの。

高木:そうか。RHYMESTERと一緒にやったりしてるけど。

藤原:それはキーも合ってるから。でも僕は無理やりやるからキーがズレたりするし、そこは僕も最初に誰かプロデュースするときにたまにぶつかったりしてたんだけど、サンプリングとキーが合わないじゃん。

デッツ松田:頭のほうはあってても途中からズレちゃったりね。

藤原:歌がズレちゃったりするところが絶対にダメだって言うアーティストもいれば、面白いねって言うアーティストもいるからね。

番組では藤原が制作した松任谷由実の『中央フリーウェイ』のリミックスを流す場面もあった。

【radikoで聴く】https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20221221034632(2022年12月27日28時59分まで)

藤原とデッツ松田は翌週27日(火)の同番組でも、高木とトークを繰り広げる。放送は27時から。オンエアはradikoで一週間楽しめる。

【radikoで聴く】https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20221228030000

© 株式会社J-WAVE