「昔のような雰囲気では勝てない」清水の守護神・権田修一が提言“新時代”築くため街全体でクラブを強くしていく【2022年、現場は今】

2022シーズン、清水エスパルスとジュビロ磐田がJ2へ降格し、「サッカー王国・静岡」が、崩壊しようとしています。新たな時代を作るために、何が必要なのか。日本代表の守護神にズバリ聞きました。

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2022年11月5日。静岡サッカーの歴史が変わりました。アウェー札幌戦、壮絶な打ち合いの末に敗れた清水エスパルス。J1リーグ17位で、J2降格が決定しました。

静岡サッカー“新時代”へひと言ひと言に思い込める権田修一選手

「もう少し何かできたんじゃないか」

<清水エスパルス 権田修一選手>

「みんな集中して一生懸命やっているが、もっと敏感になって改善点を見つけなければいけなかった。もう少し何かできたんじゃないかと思う」

ジュビロ磐田も降格が決まっていたため、1993年のJリーグ発足以来、初めて静岡のクラブがトップカテゴリーから姿を消すことになりました。

「その頃はこうだったが“枕詞”に」

浜松市出身のサッカー解説者で元アトランタ五輪代表、松原良香氏(来季からJ3いわてグルージャ盛岡監督)が日本代表GK権田修一選手に、所属する清水エスパルスについて聞きました。

松原;客観的にエスパルスを見て、エスパルスのサッカーでどんなサッカー?

権田;どんなサッカーなんですかね。僕が入ってから監督が代わると全て変わるので、僕は正直、まだ分からないです。ほんとにすごい時代があって『その頃はこうだった』っていうのが枕詞になっているというか、今年すごく違和感だったのが、ゼ リカルド監督になって練習内容が変わった時に、「昔のような雰囲気になった」という記事を見たんですね。『昔のような雰囲気になった』ってすごくよくないことなんですよ。

その頃のサッカーで優勝できることって、絶対なくて、今の時代は速さも違って、判断のスピードを上げないといけないのに、『昔のような』という風になってしまうこと自体が前に進めない大きな要因だと思っている。

「エスパルスのサッカーはこれから作る」

逆にエスパルスのサッカーが分からないので、これから作っていけばいいと思う。エスパルスは来季J2で戦うが、J2で戦う時にどこを見るかが大事。J2に合わせたサッカーをして結果を出してOKじゃなくて、何を目指すのかを明確にして戦うことが必要。『J1に上がる』じゃなくて『再来季ACLに行く・優勝する』とか、クラブとしても、今じゃなくて、2~5年後にどうしたら、また黄金期を作れるかイメージを持ってやることが必要。

新しいエスパルスを作るために、大切なことがあるといいます。

「クラブを1人では変えられない」

権田;当然、中の人たちは一生懸命やっている。ただ、残留するためにその場しのぎになっていることが、サッカーのやり方も含めてたくさんある。それは僕ひとりでいくら言っても変えられない。なので『大丈夫?エスパルス今のままで』と常にクラブを周りから見られるのは、街の人たちなので、そういう感覚でエスパルスをずっと見守ってほしいし、(そうすれば)強くなるスピードはすごく速くなると思うので、伸びしろしかないと思う。

静岡には“サッカー王国”という言葉がぴったり

(静岡は)ポテンシャルがある街なのに、そのポテンシャルを生かしきれてないというのが僕の感覚。“サッカー王国”という言葉が静岡はぴったりだと思う。こんなにニュースで取り上げられて、こんなにサッカー選手に気づく街はない。だから、もっとみんなで勉強して、みんなでエスパルスを強くしていく感覚になったらすごくいいと思う。

静岡サッカーから光が消えたわけではない

それでも、静岡サッカーから光が消えたわけではありません。藤枝MYFCは今シーズン、圧倒的な攻撃力を武器にJ3リーグ2位でJ2昇格を勝ち取りました。

<藤枝MYFC 須藤大輔監督>

「我々の超攻撃的サッカー、エンターテインメントサッカーで藤枝という名前を全国にとどろかせるよう序列を変えていきたいなと思います」

さらに今シーズンJ3で15位のアスルクラロ沼津は、2023シーズンの監督にレジェンド・中山雅史氏が就任すると発表しています。

話題が尽きないJリーグを静岡全体でどれほど熱くさせられるのか。“サッカーどころ”静岡としての真価が問われます。

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