「『すごく懐かしい』がとてもうれしかった」廃校になった学校の棚や机など“捨てる”から“再利用”へ 譲渡で300万円経費削減【SDGs】

少子化により、小・中学校の統廃合が進んでいます。2021年度、中学校3校が廃校になった静岡県下田市では、学校に残った備品を捨てるのではなく、再利用する取り組みが進められています。

静岡県函南町の道の駅・伊豆ゲートウェイ函南です。

<天野貴弘カメラマン>

「道の駅を入ったすぐのところにあるこの木の商品棚、よく見ると『稲梓中学校』と入っています」

地元の丹那牛乳を使った商品を販売する店で、下田市の中学校の備品が使われていました。ほかにも、校長室の表札や予定表。本棚だったのか、「国語辞典」と貼られています。

学校給食で愛されている丹那牛乳。学校のイメージで店作りをしたいと、下田市に相談し、廃校になった稲梓中学校の備品を譲り受けることになりました。

<道の駅 伊豆ゲートウェイ函南 田中三智子駅長>

「下田市の稲梓中学校の卒業生で函南にお嫁に来て、こちらで暮らしている方がいらして、すごく懐かしいとおしゃっていたのがとてもうれしかったです」

下田市では、中学校の統合で2021年度末、3校が廃校になりました。9月には旧稲生沢中学校で市民を対象にした備品の無料譲渡会が開かれました。

<人体模型を見ている女性>

Q.気に入りました?

「気に入りました。何の臓器だ。もらっていこうかな」

<祖母と孫>

「ばぁば(自分)が昔、木造校舎の時に稲生沢小・中と、ここに通っていました。なので懐かしさがあってきました。何かあったら頂きたいなと思ってきました」

下田市によると備品の処分や建物の解体には、1校あたり約1億円かかる見込みです。備品を譲渡することで、処分費用約300万円が削減できました。

<下田市役所企画課 鈴木浩之課長>

「地域で中学校の思い出をいつまでも残してほしい。SDGsの流れの中でゴミを減らす、廃棄物を減らすということも一つ大きな理由として実証したところです」

ほかの学校に移り、現役を続ける備品もあります。

<下田市立朝日小学校 佐藤知佐子校長>

「この時計が譲渡品。電波時計ですが、子どもたちが休み時間が終わるときに時計がないと今何時かが確認できない」

この小学校にはチャイムがなく、廃校からもらった10個の電波時計が活躍しています。ほかにも、棚や机など200点以上を譲り受けました。

<下田市立朝日小学校 佐藤知佐子校長>

「買ったら何万円もするものをいくつもいただきましたので、本当にありがたかったなと思います」

旧下田東中学校です。

<下田市役所企画課 小澤太紀主事>

「こちらが今まで使われていた教室になります」

Q.机や椅子がまだありますね?

「それ以外にもたくさんの備品が残っています」

これまでに備品が譲渡されたのは1校。下田市は、残りの2校でも2022年度中に譲渡会を開き、資源を有効活用する方針です。

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