寝袋(シュラフ)のブランドとして非常に有名なナンガ(Nanga)。「高級ブランドだから憧れるけど、いろんなモデルがあってどれを選べばいいの?」と悩まれている方へ、今回は「ナンガのシュラフを一瞬で目利きする方法」を現役キャンプ業界人のキャンプレンジャーが詳しく教えます!
最も勢いのあるナンガ(Nanga)のシュラフ
ダウンシュラフは色々なブランドから出ていますが、最近勢いがあるのはナンガだと思います。
高級なのでなかなか買えませんが、ブランドのイメージも良くとてもかっこいい。
ただ、「ダウンシュラフってなんとなくスペック等が複雑なのでどれを買えばいいか分からないと思って敬遠してる方」が結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。
これからダウンシュラフを買いたいなという方が、1から自分自身で「ダウンシュラフにはこんな種類があって、これはこういう性能があるんだ」と調べるのも時間がかかるし大変だと思います。
今日はナンガにフォーカスしたお話ではありますが、ダウンシュラフについての詳しい説明も途中入れていこうかなと思っています。
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これを覚えていただければ、そのシュラフがおおよそどんな性能をしているかが一瞬でわかるようになるので、是非最後まで見ていただければと思います。
【1】ナンガのシュラフは商品名で大まかに判別可能
ナンガのシュラフは『商品名の付け方』を押さえておけば、お店に行った時とかに「下げ札(スペック)」を見なくても大体その商品がどんな性能をしているかっていうのが分かるんです!
例として「オーロラライト450DX」という商品を使って説明していきますね。
生地やダウンの種類
ナンガにはいろいろな種類の生地やダウンがあります。
・UDD(ウルトラドライダウン)
撥水性能を持ったダウン
・オーロラテックス
防水加工された生地
・オーロラライト
オーロラテックスよりも薄い生地
・アプローチシンセティックファイバー
化繊(羽毛ではなくポリエステルの綿)
・これに該当しないもの
ダウンバッグ(商品名)やナノテックス
この場合だと生地にオーロラライトを使ったシュラフですっていうことが一発でわかります。
ダウンの使用量
続いて450という数値なんですがこれは単純にダウンの使用量です。
この寝袋は450g のダウンを使っていますということですね。
ダウンの性能
1番右のDXって書かれている部分はダウンの性能を指しています。
ナンガについては使っているダウンは原則650FP(フィルパワー)以上のものになっているのでここに何も書いてない場合やスタンダード(STD)と書かれている場合はそのまま650FPのダウンが使われています。
DX(デラックス)になってるとより性能が良い770FPのダウン。
SPDX(スーパーデラックス)になっているとグースの860FPのダウンになってます。
ナンガのシュラフは、カタログ記載されてる商品の他に「ショップの別注品」というのが多くて、実は別注品の方が値段が安いので購入の選択肢に入ります。
「結局どのショップのものがコスパがいいの?」となった時でも、この見方を覚えておくと「ここのショップの別注品はこんなスペックなんだな」というのが一瞬でわかるようになります。
冬用かどうかの見分け方はダウン量
ナンガの製品って基本的にダウン量600g 以上のものは冬用モデルという扱いになっています。
ちなみに、ナンガシュラフの冬用モデルは、縫製方法がシングルキルトからボックスキルトに代わって、ショルダーウォーマーとドラフトチューブがつくようになります。
【2】ダウンシュラフ選びの基本はこれ!
ここまで説明しましたが、FP(フィルパワー)やボックスキルトと言われてもわからないと思うので、「ダウンシュラフの選び方の基本」として、押さえておきたいポイントを説明していきたいと思います。
FP(フィルパワー)とは
まずフィルパワーというのは簡単に言うとダウンが膨らむ力を数値化したものです。
羽毛の隙間に暖かい空気をため込むというのがダウンの仕組みですが、膨らみの力が大きければ大きいほどより多くの空気をため込むことができるので保温性は高まります。
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温かい空気は逃げにくくなり、冷気は入って来れなくなるということです。
なので、このフィルパワーという数値は大きければ大きいほどより暖かいとされています。
ちなみに、ダウンとグースでも違いがあり、一般的にはグースの方が上質なものという位置づけになっています。
ボックスキルトとは
ボックスキルトは生地の縫製方法です。
シングルキルトというのはシンプルに表の生地と裏生地をぬい合わせる方法です。
こちら(下画像)はナンガのシングルキルトのモデルですが、ここの縫製部分ですね。
要は、中のダウンが寄ってしまわないようにシュラフには絶対ここに縫い目を入れるんですが、糸の縫い方を表生地と裏生地それぞれの生地を重ねて縫ってしまう方法をシングルキルトといいます。
メリットとしては生産工程が簡略化できるので単純にコストが下がるというところ。
デメリットとしては縫い合わせた部分から冷たい冷気が入ってしまうのでコールドスポットになるという点です。
一方でボックスキルトは、表生地と裏生地の間にメッシュの隔壁をつくって縫い合わせをしません。
そうするとシングルと違って縫製部分が潰されないようになるので、コールドスポットになりにくいという仕組みになっています。
ただ、そのような縫製はもちろんコストがかかるので、単純にシングルキルトのものよりボックスキルトの方が原価が上がってしまうという点と、中にメッシュを入れることによって若干重量が出るというところがデメリットになりますね。
ショルダーウォーマーとは
ショルダーウォーマーというのは寝袋の首元部分です。
首元部分にチューブのようなものが通ってる場合、これをショルダーウォーマーと言います。
寝袋の中でもコールドスポットとされる首元の保温力を上げるために、チューブと中にダウンを入れて通すことで保温力を高めるという構造になっています。
ドラフトチューブとは
ファスナーを開けたときにファスナーの内側にベロが付いていると、これがドラフトチューブになります。
これもショルダーウォーマーと同じでこの中にダウンが入っています。
このファスナー部分から冷気が入ると言われるので、内側のベロで保護することによってコールドスポットをなくすという目的で付けられているものになります。
例えば激安の冬物シュラフがあったとして、それがダウン量1000g で暖かいですよと言っていたとしても、縫製法・ショルダーウォーマー・ドライチューブの製法によっては、ダウン量に対して実際の体感温度は下がってしまうので気をつけてもらった方がいいかなと思います。
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以上の点を覚えていただくと、ナンガのシュラフがどんな性能をしているかっていうのは商品名で簡単に見分けがつき、さらにスペックまで一瞬で全部わかります。
これを踏まえて最後にナンガの中でも実際にコスパの良い商品っていうのを紹介していきたいと思います。
【3】ナンガのシュラフをコスパ良く買う方法はコレ!
実際にコスパの良い商品、それは「ショップが別注しているシュラフ全般」です。
ナンガはプロパー品は実は高いです。
例えば、「オーロラ350」という商品なんですが、オーロラテックスの生地で350g ダウンが入ってて何も表記が無いので650FPのシュラフです。
ナンガのプロパー品は、このスペックで税込みで29,700円で売っています。
一方で、山渓というショップが別注している商品だとオーロラ450DXというのがあります。
オーロラテックスで450g ダウンを使っていてデラックスなので770FPの性能があり、さらにボックスキルト構造になっています。
これらを合わせて税込みで31,900円です。
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なんで?っていう感じですよね。
今までお話しした内容を頭に入れてもらっていると、どっちがコスパが良いか一瞬で判断つくと思います。
山渓以外のショップ別注品でも、だいたいのところはこうやって商品名にスペックを入れてくれてるので、使用生地やダウン量とかダウン性能を一瞬で判別した上で製品価格を見てコスパを判断してみましょう。そして、自分の用途に合ったモデルっていうのを選んでもらうのが一番いいのかなと思っています。
ちなみに、ナンガでは撥水性のあるダウンをウルトラドライダウンって呼んでいますが、イスカになるとエアドライトって呼んでたりして、呼び方が違うだけで似たようなコンセプトの素材があったりします。
そのため、このあたりのポイントが頭に入ってれば他のメーカーの商品を選ぶ時の応用も効くようになるので覚えておいて損はないかと思います。
ナンガのシュラフは一瞬で目利きできます!
ということで、「ナンガのシュラフを一瞬で目利きする方法」をご紹介しました。
今回はナンガにフォーカスしましたが、ナンガに限らず他のメーカーにも応用が効くので参考にしてみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。