南島原で甕棺3基出土 2000年前、弥生時代の墓地か 自転車専用道予定地で見つかる

自転車歩行者専用道路予定地から出土した甕棺=南島原市有家町(市教委提供)

 長崎県南島原市が島原鉄道・旧南線の廃線跡地に整備している「市自転車歩行者専用道路」(旧加津佐駅-水無川手前・約32キロ)の予定地の一部(同市有家町中須川)から甕棺(かめかん)3基が出土したことが23日分かった。市教委文化財課によると、約2千年前の弥生時代中期ごろの墓地とみられる。
 同道路事業に伴い、市教委は11月中旬から埋蔵文化財の発掘調査を実施。作業員が今月5日、甕棺を発見し、同課学芸員が確認した。1基は縦約1メートル、横0.75メートルで、残り2基は調査中。このほか、石蓋土坑墓(いしぶたどこうぼ)や土坑墓も見つかった。

埋蔵文化財を調査する作業員ら=南島原市有家町

 甕棺は、遺体埋葬に使われた土器。甕棺墓は弥生時代前期以降、九州北部を中心に多数造られたとされる。同課によると、富の原遺跡(大村市)や原の辻遺跡(壱岐市)、島原半島3市でも発見されているという。

 市教委は文化財保護法に基づき甕棺の出土を県に通知。重要文化財の場合、保存方法など検討する必要があるが、今回は開発事業に伴う発掘調査のため、現状保存でなく、調査・記録した上で他の場所に移して保存する方向。発掘調査エリアを含む同道路の区間工事は、調査終了後の来年3月ごろに着工する予定。
 市教委は「甕棺の出土は、広域的な墓域や人が住む集落があったことを示唆する。今回の調査で記録保存をきちんと行い後世に伝えていきたい」としている。


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